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東京モーターショーで気になったモノ(NSK編) [クルマ]

思わず手を叩いて(叩いたのは胸の内で)よろこんでしまいました。あまりにも企業のカラーがはっきり現れているので。下の写真にある展示物は、一見すると単なるモーターユニット(EVドライブシステム)です。

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NSKの提案は、モーターユニットを小型化すると、結果として車重が軽くなって航続距離が延びますよね、という提案。そこで目を付けたのがモーターの高回転化。モーターを高回転化すると電流を下げられるので小型化できる。ただし、高回転ではギヤが対応できないし音も大きくなるので、減速する必要があります。出力が同じなら、超高速モーター+減速機の方が、従来のモーターより小型化できるとの試算。

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展示物のモーターは4万rpmを想定。これを1万回転まで落とすのに減速機をつないでいるわけですが、その減速機、遊星ギヤならぬ遊星ローラーです。ハーフトロイダルCVTの開発で培った技術を応用したわけです。歯車を使わないので音の面で圧倒的に有利。サンギヤならぬサンローラーにモーターの回転が入り、3個の遊星ローラーを通じてリングに伝わる間、4分の1に減速される仕組み。おもしろい!

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近くには、ハーフトロイダルバリエーターを横置きにパッケージしたモジュールが置いてありました。いわゆる、FF用のトロイダルCVTです。レシオカバレッジは6.5。伝達効率は97%。特徴はいくつかあって、まずはクラッチやトルクコンバーターなどの発進デバイスが不要なこと。

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バリエーターと遊星歯車機構の組み合わせでギヤードニュートラル状態(変速比無限大)を作りだしているからですね。動力伝達系の中で動力を循環させておくことができるので、エンジンからの動力はつなぎっぱなしでオーケー。発進して速度に乗ると、遊星歯車への動力伝達を(クラッチで)断って、ハーフトロイダルバリエーター直結で駆動します。

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もうひとつの特徴は、モーター/ジェネレーターを備えていること。変速比無限大であることを効果的に使うと、大きなトルク増幅をかけられる。ということはつまり、小さなモーターで駆動できるし、ごく低速域までエネルギー回生ができる(ので効率を高められる。燃費が稼げる)というわけです。

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以上、あくまで計算上は、ですが、「前輪駆動用高効率トロイダルバリエーター」を積んだクルマに乗ってみたいとの思いが再燃する出会いでした。こうした出会いのあるところが、東京モーターショーのおもしろさ、でしょうか。

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