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フェラーリは2023年からル・マン・ハイパーカーでWECに参戦 [モータースポーツ]

WEC(FIA世界耐久選手権)の開幕に合わせるでもなく、唐突に発表するものなのですね。

フェラーリはル・マン・ハイパーカー(LMH)のプログラムを開始すると発表しました。LMHはWECの2021年シーズンから、従来のトップカテゴリーであるLMP1にかわって導入されます。

ferrari-2023LMH_desktop-cover-home-new.jpg

フェラーリはプレスリリースで、「スタディと分析の結果、新しいLMH車両を開発することにした」と説明しています。現在は設計&シミュレーションのフェーズだそう。

LMH規定はマニュファクチャラーに2つのオプションを提示しています。

1. ハイパーカーの形を持つプロトタイプを作る
2.市販ハイパーカーをベースにレース車両を作る

フェラーリはどのどちらを選択するのでしょうか。搭載するエンジンの仕様も含め、気になるところですね。ちなみに、2021年シーズンに投入する新車、GR010 HYBRIDを発表済みのTOYOTA GAZOO Racingは、1.を選択。

TOYOTA GAZOO Racing「GR010 HYBRID」発表
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2021-01-15-1

2022年からLMHで(ル・マン24時間レースをシリーズの一戦に含む)WECへの参戦を表明しているプジョーも1.を選択しています。

プジョーがWECハイパーカーに搭載するパワートレーンの概要
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2020-12-14

2021年からの新規参戦に向けて鋭意準備中のプライベーター、グリッケンハウスも1.を選択。

フェラーリはポルシェ(19勝)、アウディ(13勝)に次ぐ、歴代3位(9勝)のル・マン24時間総合優勝回数を誇ります。

トップカテゴリーへの復帰は1973年以来で、50年ぶり。

下の写真は1972年のフェラーリ312PB(タルガ・フローリオ戦)。

210261-cgt-targa-florio-1972.jpg

IMSAのトップカテゴリーとして導入されるLMDhを選択すると、ル・マン24時間を含むWECにも参戦できることになり、ポルシェとアウディはすでに、LMDhを選択して「ル・マン」に復帰すると表明しています。

2023年は少なくとも、トヨタ(TGR)、プジョー、ポルシェ、アウディ、フェラーリの自動車メーカー対決が見られるというわけです。

WEC・LMHとIMSA LMDhの詳細は『Motor Fan illustrated Vol.173』で概要をまとめています。ご参考まで。

『耐久レース新時代』GR010 HYBRIDとLMH&LMDh
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2021-02-16



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25台限定の「ゴードン・マレーT.50sニキ・ラウダ」 [クルマ]

ニキ・ラウダの誕生日(2月22日)に発表されました。

ゴードン・マレーがブラバムでテクニカルディレクターを務めていた1978年と79年、ラウダはブラバムで走り、マレーのチームメイトであり友人でした。

そのラウダへのトリビュートが「T.50s(ティー・フィフティ・エス)ニキ・ラウダ」です。

T.50s_01.jpg

ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)は2020年にT.50を発表しています。

ゴードン・マレーのT.50発表↓
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2020-08-06

GMD_045.jpg

マレーは、「T.50sはT.50の派生モデルではない」旨の説明をしています。並行して開発を進めたモデルだと。

ボディパネルは一切共用していないそう。

T.50が「ベスト・ロードカー」なら、T.50sは「サーキットで真価を発揮するベストドライバーズカー」の位置づけ。

NIKI LAUDAのロゴが入ったセントラルフィン(シャークフィン)は、ヨー・スタビリティの向上に寄与すると説明しています。

T.50s_09.jpg

T.50の特徴的な装備だった直径400mmのファン(ブラバムBT46Bの技術を引用)はそのまま受け継いでいます。

T.50では6種類のエアロモードを設定していますが、T.50sはそのうちの1つ、ハイダウンフォースモードのみが機能します。

最大1900kgのダウンフォースを発生できるポテンシャルを確認したものの、アマチュアドライバーでも扱えるようにと、1500kgに抑えたそう(ま、それでも1500kg)ですが。

ちなみに、車重はT.50より134kg軽い852kg。

コスワース製の3.9L・V12自然吸気エンジンはT.50sに合わせて仕様が変更されており、T.50プラス48PSの711PSを発生。最高回転数は変わらず、12100rpmです。

圧縮比が15:1なのも驚き(T.50は14:1)。

T.50s_23.jpg

フロントスプリッターはLMP1スタイルです。

ダイブプレーン(カナード)の内側にバーチカルダクトが設けてあります。これはフロントタイヤが発生させる乱流を制御してドラッグを抑える、エアカーテンを生成する役割を担っています。

T.50s_02.jpg

デルタ形状のリヤウイング(幅1758mm)はブラバムBT52(1983年)のフロントウイングからインスパイアされたもの。

T.50s_10.jpg

ドライバーがセンターに座ることに、変わりはありません。

T.50は6速MTを備えていましたが、T.50sはパドルシフトです(T.50と同様にXトラック製)。

T.50はドライバーズシートの左右後方にパッセンジャーズシートを備えていましたが、T.50sは左後方のみ標準(レス仕様の選択も可)。T.50では右側パッセンジャーのフットスペースにあたる位置にスイッチパネルが設置されています。

T.50s_30.jpg

生産される25台(310万ポンド、税別)はシャシーナンバーに加え、マレーの車両がグランプリで勝利したサーキットの名称があてがわれます。

シャシーナンバー01は「01 1974 KYALAMI」、06は「06 1980 IMOLA」といった具合。

個人的には、「21 1988 SUZUKA」が気になりますね。オーナーには、それぞれのレースについて記した特別制作本が贈呈されるそう。



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新型ポルシェ911 GT3のニュル・オンボード映像 [クルマ]

ポルシェは2月16日、新型911 GT3を発表しました。

992型911がベースで、先に発表になった911 GT3 Cupと同様、4.0L水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載しています。

最高出力は375kW(510PS)。

Porsche_911_gt3_rear.jpg

車両の概要はこちら↓でご確認ください。



新型911 GT3はニュルブルクリンク北コース(全長20.8km)を6分59秒927で周回(つまり7分切り)したそうで、そのときの動画が公開されています。

Porsche 911 GT3 / 6:59.927(2021)


路面のアンジュレーションの影響を受けて後輪が浮き気味になり、その影響でエンジンの音が一瞬フォンとなったり、タイヤがヒャーっとスキール音を発したりすると、心臓が縮まる思いがします(見ているだけなのですが)。

しかし、いい音しています。

参考までに、911カレラS(991)のオンボード映像と、919ハイブリッド・エボの映像も置いておきます。

速いクルマほど安定しているのが、よくわかります。

Porsche 911 Carrera S / 7:37.9(2012)


Porsche 919 Hybrid Evo / 5:19.55(2018)


↑早送りにしか見えない……

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日産グローバル本社ギャラリーで「日産モータースポーツ車両展示」中 [モータースポーツ]

2月13日の「日産モータースポーツファンイベント」開催にあわせ、日産グローバル本社ギャラリーではモータースポーツ車両の展示を行っています。

3月12日(金)まで。

展示車両はこちら。

・MOTUL AUTECH GT-R (2019年仕様)
・リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(レプリカ)
・フェアレディ 240ZG(HS30H型)
・カルソニックスカイライン(グループA仕様、 BNR32型)
・NISSAN LEAF NISMO RC
・日産リーフ NISMO

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カルソニックスカイライン、何度見てもいいですね。

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もっとも目を引いていたのは、フェアレディ240ZG(1973年)でした。

「このクルマは、240ZGレース仕様のテストカーで、排気量2870ccでクロスフローのシリンダーヘッドをもつモータースポーツ専用エンジン「LY28型」を搭載しています。最高出力は300psに達しました」と、説明パネルにあります。

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NISMOロードカーの特別試乗会も実施中。
https://ghq-gallery-cms.nissan.co.jp/GALLERY/HQ/EVENT/1554

ヘリテージゾーンも確認します。

IMG_1279.jpg

Be-1(1987年)のリヤガラスに貼ってありました。

無鉛ステッカー。

この頃、まだ現役だったのですね(すっかり忘れてる)。

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『耐久レース新時代』GR010 HYBRIDとLMH&LMDh [モータースポーツ]

CVTを特集している『MOTOR FAN illustrated - モーターファンイラストレーテッド - Vol.173 (モーターファン別冊)』でページをいただきまして、2021年シーズンからWEC(FIA世界耐久選手権)の最上位カテゴリーに導入される、LMH(ル・マン・ハイパーカー)について概要をまとめています。

いち早くLMH規定に合致した車両を発表したのは、TOYOTA GAZOO Racingでした。

LMP1-H規定で戦っていた2020年までのTS050 HYBRIDとLMH車両のGR010 HYBRIDを対比させながら、LMHが生まれた背景と概要を説明しています。

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WECでLMHを選択すると、北米のIMSAにも同じ車両で参戦できるようになります。

一方、IMSAのトップカテゴリーであるLMDh(ル・マン・デイトナh)を選択すると、その車両でWECに参戦できるようになります。

LMP1-HとLMH、LMDhの主要スペックを表にまとめました。

MFi173_MS_3s.jpg

2022年からはプジョーがLMHでWECに参戦します。

MFi173_MS_4s.jpg

最後に、LMDhの概要を説明しています。

アウディとポルシェは、2023年からLMDhでIMSAに参戦すると表明。もちろん、新しい取り決めを利用してル・マン24時間にも参戦する見込み。

現在のトップカテゴリーであるDPiでIMSAに参戦しているアキュラは、2023年にLMDhに移行することを表明しました。

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締め切りの関係から、誌面では「態度は明らかにしていない」となっていますが、DPiで参戦中のマツダは、2021年シーズン限りでの撤退を発表しています。残念。



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『自動車技術の出発点』最新回はジヤトコのCVT [クルマ]

17回目となる『自動車技術の出発点』、『MOTOR FAN illustrated - モーターファンイラストレーテッド - Vol.173 (モーターファン別冊)』では、ジヤトコ(JATCO)のCVTを取り上げています。

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たまたま(?)、『MOTOR FAN illustrated - モーターファンイラストレーテッド - Vol.173 (モーターファン別冊)』の特集はCVT(Continuously Variable Transmission)で、CVTづくしな1冊になっております。

1993年にウイリアムズF1がCVTのテストをしたことをご存じの方も多いと思いますが、それが、ジヤトコが1997年に初めて製品化したCVTのアレに影響を与えていたとは知りませんでした。

内容はぜひ、誌面でご確認ください。

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ウイリアムズのCVT、チラッと透視イラストを掲載しています。

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マツダ、2021年シーズン限りでIMSA DPiから撤退 [モータースポーツ]

マツダは2月12日、2021年シーズン限りで、IMSA最上位カテゴリーのDPi(デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル)から撤退すると発表しました。

マツダは2017年からRT24-PでDPiに参戦しています。

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「現在のDPiと将来のLMDhを社内で評価した結果」導き出した結論だと説明しています。

つまり、LMDhでの参戦はないと発表したことになり、ル・マン24時間への復帰も遠のいたことになります。

2022年以降は、MX-5(ロードスター)カップなどのグラスルーツレーシングの活動に集中する方針。

Mazda_Motorsports_Update.jpg
(クリックで拡大)

マツダ・ノース・アメリカン・オペレーションズ(MNAO)の毛籠勝弘会長兼CEOをはじめ、マツダ社内の人々からル・マン復帰を思う強い気持ちを耳にしていただけに、なんとも残念です(社内だけなく周辺環境も含め、「簡単ではない」という話も聞いていましたが)。

苦渋の決断だったことと思います。

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永遠に可能性がなくなったわけではないと、希望を残しておくことにします。

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F1コミッション・ミーティング2021 [F1]

将来のレギュレーションなどについて意思決定を行うF1コミッション・ミーティングが2月11日にオンラインで開催され、いくつかのレギュレーション変更について話し合われました。

話し合われたテーマの一部を取り上げます。

カレンダー
2021年の開催カレンダーは5月2日決勝の第3戦が「未定」の状態でしたが、ポルティマオ(ポルトガル)で開催する方針が固まりました。

開幕戦はバーレーン(3月28日)、第2戦はイモラ(イタリア/4月18日)、第4戦はスペイン(バルセロナ/5月9日)です。

タイヤテスト
2022年のテクニカルレギュレーション変更にともなって18インチタイヤ(現在は13インチ)が導入されることになります。

その準備のためのテスト日数は25日に決まっていましたが「30日に増やしてほしい」と、タイヤを供給するピレリからリクエストがあり、全会一致で認められました。

Pirelli_18in_tyre.jpg

パワーユニット
エンジンの開発は2022年の開始時点で凍結されることが全会一致で決まりました。

レッドブルとアルファタウリにパワーユニットを供給するホンダは2021年シーズン限りでの撤退を表明していますが、態勢を整えることができれば、2022年以降も、2021年までに開発されたパワーユニットを使うことが可能になります。

開発が凍結されるので、他マニュファクチャラー製パワーユニットとの差が広がることは(レギュレーションの理念を尊重すれば)ありません。

新しいパワーユニットは2025年に導入されますので、2024年までは使い続けることができます。

Honda_RA618H.jpg

2025年のパワーユニットは、「環境的に持続可能」であり、「社会にとっても自動車にとっても意味のある」もので、「完全に持続可能な燃料」であり、「パワフルかつエモーショナル」で、「大幅にコスト低減」ができ、「新しいパワーユニットマニュファクチャラーにとって魅力的」であることとする目標が定められました。

新しい予選形式
ファンの関心を高めるために革新的な方法が必要だというアイデアについては全チームが同意しており、新しい予選形式の導入について議論されました。

金曜日に予選→土曜日スプリントレースのグリッド決定→土曜日スプリントレース実施→日曜日決勝レースのグリッド決定→日曜日決勝レース、という流れでしょうか。

今回のミーティングでは結論は出ず、最終決定は2021年シーズンの開幕までに持ち越されることになりました。

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『F1メカニズム最前線 2021』 [F1]

F1速報 別冊 F1 メカニズム 最前線 2021 (ニューズムック)』の発売日、2月15日だと思い込んでいたのですが、2月12日でした。

どうりで編集サイド、焦っていたわけです。原稿を納めるタイミング、ギリギリだったのですね(いま、実感しました)。

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タイトルに「2021」とついていますが、掲載されている車両はすべて2020年モデルです。

F1参戦各チームのマシン、外から見える範囲のディテールが、シーズン中の変化を追って確認できるようになっています。

個人的には、2021年のテクニカルレギュレーション(パワーユニット開発制限やフロア一部カットなど)とスポーティングレギュレーション(前年の成績に連動して空力テストが制限)、それにファイナンシャルレギュレーション(コストキャップ)に関して、詳細にまとまっているのがありがたい。



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キャデラックDPi-V.Rのエンジン [モータースポーツ]

2021年のデイトナ24時間で総合2位になったキャデラックDPi-V.Rのエンジンも見ておきましょう。

2位になったのは48号車(ジミー・ジョンソン/サイモン・パジェノー/マイク・ロッケンフェラー/小林可夢偉)でした。

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ダラーラのLMP2シャシー(P217)をベースにエンジンを載せ替え、オリジナルのボディワークを被せています。

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エンジンは5.5L・V8OHV自然吸気。2017年に初投入した際は6.2L(LT系)でしたが、翌年から5.5Lに切り換えています。

ターゲットとする600馬力を発生するのに、6.2Lも必要なかったので。

それにしてもエアボックス、大きいですね。

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横から見ると、こんなふう。

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開発は、シボレーのNASCAR向けエンジンの開発・製造を行っているECRエンジンズが担当。

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量産のV8は直噴化されていますが、DPi用は直噴化しなくてもパワーやドライバビリティのターゲットを達成できるため、ポート噴射を採用しています。

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最高回転数は7600rpm(2017年)。

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