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トヨタTS050ハイブリッド搭載エンジンのプレチャンバーなど [モータースポーツ]

Xにポストした内容の再録です。

『オートスポーツ』最新号(No.1589)では、2016年から2020年までWECのLMP1クラスを走ったトヨタTS050ハイブリッドのエンジン(2.4L・V6直噴ツインターボ)について技術詳細を掲載しています。プレチャンバー(副室)を適用した燃焼室も公開。きれいな写真は誌面でご確認ください。

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プレチャンバー部のカットモデルです。よくあんな細い穴(矢印)から混合気が副室に入っていきますよね。実験前は開発技術者も疑心暗鬼だったそうですが、燃焼圧波形に衝撃を受けたと証言しています。

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チタン合金製のコンロッドはIHI断面(I〜H〜Iに断面形状が変化)が特徴的。ピストンはアルミ合金総削り出し。冠面に燃料噴射の痕跡が確認できます。

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カムシャフトの回転運動をバルブに伝えるフィンガーフォロワーに関する写真と記事も、オートスポーツNo.1589に掲載。スパのオー・ルージュで激しくボトミングした影響でコレが折れた理由についても解説しています。

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カムシャフトとクランクシャフト(シリンダーヘッドやブロックも)のきれいな写真と解説をオートスポーツNo.1589に掲載しています。丸棒くりぬき&カム側面肉抜きのカムシャフトに軽量化への強い執念が確認できます。

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【F1日本GP2003】HRCブースのRA621Hディテール解説 [F1]

Xにポストした内容の再録です。

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(クリックで拡大)

F1日本GPのHRCブースに2021年のホンダ製パワーユニット、RA621Hが展示されていました。ご覧になった方も多いと思います。
写真左側が車両前方。ESSはEnergy Storage Systemの略で、この中にリチウムイオン電池のセルやインバーター、DC-DCコンバーターなどが入っています。

エンジン前面中央部にあるシャッター様の円形の部品が目に付いたと思います。コンプレッサーの入口にあり、IGV(Intake Guide Vane:インテークガイドベーン)とHRCでは呼んでいます。RA621Hはスロットルバルブを持っておらず、IGVで空気量を制御しています。

IGVの両脇にあるのはCACパイプ。CACはCharge Air Cooler(チャージエアクーラー)の略で、加圧して温度が上昇した空気を冷やす熱交換器のこと。インタークーラーともいいます。ここからCACに向かい、冷やされた空気は紫のフタの部分からプレナムチャンバーに入ります。

CACパイプから細いパイプ(バイパスパイプ)が枝分かれして後方に向かっているのが見えます。CB2と呼ぶエネルギー回生装置で、従来は吸気系の上流に逃がしていた余剰の過給圧を排気に合流させてタービンの駆動仕事に用いる仕組み。規則変更により2022年からは適用できず。

プレナムチャンバーの中には、エンジン回転数に応じて吸気管長を最適に調節し、吸気の動的効果を最大限に利用するVISが入っています。VIS(ビス)はVariable Intake Systemの略で可変吸気システムのこと。VISやIGVの制御には、MOOGの油圧サーボバルブを使っています。

シリンダーヘッドとシリンダーヘッドカバーは鋳造ではなく、アルミ合金総削り出し。排気側にバー状の剛性リブがないのが、2021年のRA621Hで採用した新骨格の特徴。リブがなくなったぶんカウル側に余裕が生まれ(内側に攻めることもできる)、空力に貢献。

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(クリックで拡大)

ホンダRA621Hを後ろから見ます。中央にツインボリュートのタービンハウジングが見えます。断熱カバーで覆われていますが、矢印の先に、やはり断熱コーティングされた白い本体が覗いています。タービンハウジング自体はインコネル製で、3Dプリンターで製造。

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【F1日本GP2023】HRCのブースなど [F1]

鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP、天候に恵まれて良かったですね(日差しきつかったですが)。

昨年もそう思いましたが、「ダンダンダン」なお決まりの音楽が鳴り響いているGPエントランスをくぐる瞬間、グランドスタンドの巨大ドライバーポートレートが目に入ることなども相まって興奮しますね。

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決勝日の昼ごろともなれば、HRC(ホンダ・レーシング)、アルファタウリ関連のグッズはSOLD OUT多数。

HRCウエアを身につけた人、多く見かけました(浸透早い)。

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予想(期待?)どおり、ものすごい人出でした。

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HRCブースを覗いてみます。

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現行車両のモックアップが展示してありましたが、デカイですね。

全長5400mm、ホイールベース3600mm級ですもんね。

タイヤもデカイ。

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目を引いたのは、2021年のパワーユニット、RA621Hです。

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インテーク・ガイド・ベーン(IGV)が開いた状態で展示されているのは、貴重だったのでは。

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IGV含め、ホンダの第4期歴代パワーユニットの技術については、『ホンダF1のテクノロジー』でご確認ください。



ショップでは、RA621HをあしらったTシャツを販売していました。

写真のホワイト以外にグレーとブラックがありました。

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スタート前のブルーインパルスの展示飛行も良かったし、国歌独唱(航空自衛隊航空中央音楽隊ヴォーカリスト兼ピアニスト・森田早貴3等空曹。演奏は航空自衛隊中部航空音楽隊)に震えました。

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帰り際に「来年は4月」と伝えられて、現実に引き戻される感じ?

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帰路の大渋滞も含めてのF1日本GPかと……。

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デリカミニの「デリ丸。」と「てのりデリ丸。」 [クルマ]

そういえば近くにいるではないか、とふと気づき、三菱自動車本社ショールーム(東京都港区芝浦3丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 1F/2F)を覗いてきました。

車両展示エリアは1階です。

「いるかもしれないなぁ」と期待半ばで足を運んだのですが、いました。

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デリ丸。

デリカミニを成約すると「もらえる」んだそう。

「デリ丸。がもらえるなら」と、競合他車と悩んでいる状況での購入の後押しになっているのだそう。

TVCMの効果、大きいですね。

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実車も展示されています(撮影しようとしたら、わざわざライトをつけてくれました)。

ボディカラーは人気のアッシュグリーンメタリック(展示車ブラックマイカとのツートン)。

てのりデリ丸。(高さ約13cm。デリ丸。は約35cm)は販売店で発売中だそう(気になる……)。

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サンシャインオレンジメタリック/ブラックマイカのデリカミニも展示されています。

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オフロード走破性の高さにびっくり、な試乗レポートはこちら↓
https://motor-fan.jp/mf/article/166136/

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【SF】サステナブル素材を使用した「ADVANレーシングタイヤ」 [モータースポーツ]

取材したのは1ヵ月前なのですが、記事が公開されたので思い出しました。

(個人的に)いい写真が撮れたので。

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横浜ゴムが全日本スーパーフォーミュラ選手権にコントロールタイヤとして供給している「ADVANレーシングタイヤ」です。

パドックで見かけるこういう風景も好きです。

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こちらはウエットタイヤ。

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どちらも原材料にサステナブル素材を使用しています。

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記事はこちら↓
https://www.as-web.jp/super-formula/983332

タイヤ起因の「音」に着目した記事もあります↓
https://motor-fan.jp/tech/article/36333/

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【WEC富士6時間2023】GR H2 Racing Conceptなど [モータースポーツ]

「FIA WEC富士6時間耐久レース」の会場だった富士スピードウェイのイベント広場(グランドスタンド裏)には、水素関連車両のブースがありました。

LMPH2G(手前)はル・マン24時間レースの主催者であるACOが、燃料電池システムの製造メーカーであるスイスのグリーンGTと進めるプロジェクトで、燃料電池プロトタイプ車です。

日本初公開。

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中央はTOYOTA GAZOO RacingのGR H2 Racing Conceptで、やはり日本初公開。

6月のル・マン24時間レースで公開されました。

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水素エンジン+ハイブリッドシステム
全長5100mm
全幅2050mmとだけ発表されています。

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ル・マン24時間では2026年に水素カテゴリーが創設される予定ですが、「燃料電池車に加えて水素エンジン車も認める」ことになり、この決定に合わせてのコンセプト車両公開です。

フロントマスクが特徴的。

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ブーメラン型のカウルの下、思わず覗き込んでみたくなります(覗きました)。

フロントタイヤの周囲がフェアリング状になっています。

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タイヤは前後とも31/71-18サイズ(旧LMP1と同じ)でした。

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水素エンジンといえば、スーパー耐久シリーズに参戦中の水素カローラ(ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept)を忘れるわけにはいきませんね。

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水素カローラはガレージ56枠で走ってもいいのでは……(走ってほしい)。

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【WEC富士6時間2023】トヨタ歴代耐久レース車両のエンジン(その3) [モータースポーツ]

さらに、つづきです。

1992年のTS010。車両脇のスペック表に「車両重量750kg」とあって、「いまのF1(最低重量796kg)より軽いじゃん」と思ってしまいました。

TOYOTA TS010(1992)
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エンジンは当時のF1と同じ規格で、3.5Lの自然吸気。

RV10のエンジン名称で、バンク角72度のV10です。

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他のエンジンについても同様ですが、ボア×ストロークが記してあるのがいいですね。

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最後は1990年のトヨタ90C-Vです。

TOYOTA 90C-V(1990)
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3.2L・V8ツインターボ。

Vバンク間にオルタネーターが見えます。

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残念ながらターボチャージャーは取り付けられておりませんでした。

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説明パネルには「R32V」とありますが、ヘッドカバーには「R36V」(R32Vの発展型として開発された)とあります。

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TOYOTA GAZOO RacingのブースにはTOM'S 85C(4T-GTE型、2090cc・直列4気筒ターボ)も展示されていました。

エンジンの展示はなし。

TOYOTA TOM'S 85C(1985)
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壮観です。

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【WEC富士6時間2023】トヨタ歴代耐久レース車両のエンジン(その2) [モータースポーツ]

前回のつづきです。

トヨタTS030ハイブリッド(2012-2013)は、3.4L・V8自然吸気エンジンを積んでいました。

TS030 Hybrid(2012-2013)
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この時期は吸気リストリクターで出力を規制していました。

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エンジン名称はあくまで開発組織内部での呼称であり、公式名称ではありません(むしろ貴重な情報かと)。

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ブランクを挟んで1998年のTS020です。

TS020(1998)
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3.6L・V8ターボエンジン(ポート噴射)を搭載。

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同じターボエンジンでもTS050のエンジンとはずいぶん様子が異なります。

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エンジン名称はTTE036(R36V-V)。

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つづく。

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【WEC富士6時間2023】トヨタ歴代耐久レース車両のエンジン(その1) [モータースポーツ]

「FIA WEC富士6時間耐久レース」の会場だった富士スピードウェイのイベント広場(グランドスタンド裏)には、TOYOTA GAZOO Racingのブースがあり、歴代のル・マン24時間参戦車両が展示されていました。

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そして、車両の横にエンジンが展示(さすがに現役であるGR010ハイブリッドが搭載する3.5L・V6ターボエンジンは展示されておらず)。

6時間でも眺めていられそうでしたが、そういうワケにはいかず、泣く泣くメディアセンターに戻りました。

TS050 Hybrid(2016-2020)
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2.4L・V6直噴ツインターボエンジンです。

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ターボチャージャーを含めた排気系まで付いているのがうれしいですね。

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後方からの眺めです。

カーボンプレートの多板クラッチも装着された状態。

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2017年からはプレチャンバーイグニッション(PCI)を適用していました。

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TS040 Hybrid(2014-2015)
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カウル前端が閉じているので2014年仕様っぽいですが……。

エンジンは3.7L・V8自然吸気。

あちこちカットされていて、中身がまる見えです。

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中身は確認できない状態でしたが、可変吸気システムを適用していました。

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2014年から燃料流量規制が導入されました。

ボア×ストロークも公開しちゃうのですね(うれしい)。

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つづく。

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【WEC富士6時間2023】マツダ787BのR26Bエンジン [モータースポーツ]

「FIA WEC富士6時間耐久レース」の会場である富士スピードウェイのイベント広場に、トヨタとマツダの共同ブースがありました。

展示車の1台は1991年のル・マン24時間レースを制したマツダ787Bでした。

9月17日に行われる「マツダファンフェスタ2023 at FUJI SPEEDWAY」でデモンストレーション走行を行う個体です。

奥に見えるのは、新開発の発電用シングルローター・ロータリーエンジン(8C型)を搭載したマツダMX-30 R-EV。

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「カウル開けましょうか」の声に、恐縮しながらも「お願いします」と即答(図々しさ全開)。

4ローター・ロータリーエンジンのR26Bを拝みます。

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しかも、リニア可変吸気システムを開発した技術者の解説付き。

マグネシウム製の固定インテークパイプ部分が湿っているように見えますが、これは酸化を防止するために油を塗っているからだそう。

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デンソー(1991年当時は日本電装)製のオルタネーターを使用。

市販品ですが、軽量化を図るため鉄製のケースをマグネシウム製に作り変えています。

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左側面にまわって点火プラグ側を見ます。

それにしてもR26B、低くコンパクトですね。

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(もっと)トレーリング側に1本追加した(3)3本プラグ方式を採用。

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カーボンだったブレーキディスクはスチールディスクに置き換えられています。

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