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ル・マン24時間:ポルシェ919ハイブリッドの空力(フロントアンダーパネル中心) [モータースポーツ]

ポルシェ速いですね。さて、レースのペースはどうでしょうか。耐久性は? アウディの空力は先日ちらっと見たので、ポルシェを見てみましょう。

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リヤデッキ、低くてフラットです。

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サーキットのピットではこんな感じ。フロントカウルを衝立代わりに使用(していることもあります)。

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フロントアンダーパネルの下、タイヤとモノコックに挟まれたエリアの空力処理に凝るのが近年のトレンド(公開車検時に撮影)。

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ターニングベーンが2枚並んでいます。

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違うアングルで見るとこんなふう。左右のターニングベーンが水平のプレートでつながっています(こちらはピットレーンで撮影)。

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フロントタイヤとモノコックに挟まれたエリアに集中して、ボルテックスジェネレーターが付いています。このあたり、積極的に流れをコントロールしようとしているのでしょう。

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(クリックで拡大)

キール部に光学式車体スリップ角センサーを埋め込んでいるところなど、F1と同様。つくりや開発の方向性がどんどんF1のようになっていきますね。

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ル・マン24時間:ストラッカ童夢S103をじっくり拝見 [モータースポーツ]

ル・マン・デビューを迎えたストラッカ童夢S103をガレージでじっくり見せていただきました

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許可を得て、ガレージの奥にずんずん進みます。

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カナード(ダイブプレーン)はWEC序盤戦に投入した仕様と異なっています。コースに合わせた空力特性を実現すると同時に、24時間レースですので、ちょっとぶつかってもすぐには壊れない構造にしたそう。

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コックピットも見てみましょう。

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リヤフェンダー後部のルーバーにもアイデアが込められています。詳細はいずれ紙媒体(Motor Fan illustrated誌など)でお伝えします。

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外から見られるところはひととおり見せていただきました。「カウルの下も見たいなぁ」とPR担当のニック氏に言ってみたところ、「いいよ。いまメカニック呼んでくるから」と快諾してくれました。

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メカニック氏はすぐにやってきましたが、ひとりです。ひとりでどうやってリヤカウルを持ち上げるんだろうと不審に思っていると、右サイドだけさっと外しました。そうでした、ストラッカ童夢S103のカウルは左右分割で脱着できる構造なのでした。サービス性を向上させるとともに、補修費を低く抑えるアイデア。

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下の写真は2014年4月時点のストラッカ童夢S103。2015年の実戦仕様とは、リヤサスペンションやエキマニのレイアウトが異なっています。詳細はやはり紙媒体で。

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ル・マン24時間:ナイフエッジなトヨタのリヤウィング翼端板 [モータースポーツ]

2015年のレギュレーション変更で、リヤウィング翼端板にレインライトの装着が義務づけられました。先日のエントリーでお伝えしています↓

http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2015-06-03

翼端板にLED素子を埋め込むとこんなふうになります。NISSAN GT-R LM NISMOの例。

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こちらはリベリオンR-Oneの例。

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しつこくいきますが、こちらはオレカ05(KCMG)の例。テクニカルレギュレーションでは、リヤウィング翼端板は車両中心線と平行で、コンスタントに10mm以上の厚さがあり、端部は5mm以上の半径でラウンドしていなければならないと規定しています。

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という規定を確認したうえでトヨタTS040ハイブリッドのリヤウィング翼端板を見てみると……トレーリングエッジが薄い! まるでナイフの刃のようです(カミソリの刃でもいいですが)。どう見ても、厚さは10mmないし、エッジは5mmの半径でラウンドしていません。

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「これは翼端板ではなくボディワークの一部」という解釈なので、10mmの厚さも、半径5mmのラウンドした形状も考慮する必要がない、ということでしょう。

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LED素子を埋め込んでしまうと刃のように薄い形状にすることはできないので、光源は前方にある(レギュレーション上の)翼端板に埋め、クリア部に透過させる構造(でしょうか)。

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よく見ると、超極薄な(機能上の)翼端板(レギュレーション上はボディワーク?)です。

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他車のリヤウイング翼端板はどうか、と見てみると、例えばLMP1(ノンハイブリッド)のリベリオンR-Oneはこんなふう。リヤフェンダーに翼端板が載った格好。一般的な形態はこれで、いかにトヨタの設計がユニークなのか、がわかりますね。

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LMP1(ハイブリッド)のポルシェ919ハイブリッドも、構成的にはごくオーソドックスです。

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しかし、トヨタと同様、翼端板とボディーワークに分割して設計。トヨタと違って前方のパーツがボディーワーク、後方が翼端板という解釈。ボディワークなら車両中心線と平行に設計しなくてもいいので、強くカーブさせています。

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アウディR18 e-tronクワトロも、翼端板とボディワークの二重解釈構造。リヤウィング翼端板は2015年型LMP1(ハイブリッド)のホットな開発エリア、ということでしょうか。

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ル・マン24時間:アウディのフラップ角度調整機構など(昨日の補足) [モータースポーツ]

アウディR18 e-tronクワトロのフロントカウルにある3本のバー(矢印)。空力的には邪魔になるのでなくしたいところですが、前方視した際にサスペンションアームやタイロッドが見えてはならない規則があるため、必要に迫られて設計。と同時に、「空力的にも満足させた」との回答を、ル・マン・プロトタイプの責任者、クリス・ラインケ氏からいただきました。

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今日からサーキット通いです。ピットレーンを歩いていたら、アウディR18 e-tronクワトロのフロントカウルがごろんと転がっていました。

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のぞき込んでみると、フラップの角度調整機構が見えます。

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プラス12度まで見えますね。マイナスも12度まで目盛ってあるのでしょうか。ずいぶん調整幅があるよう。

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ル・マン24時間:公開車検で見たアウディR18 e-tronクワトロ [モータースポーツ]

2日間の公開車検がつつがなく終了したようです。興味の対象は人それぞれあるでしょうが、ここぞとばかりにボディワークのディテールを狙う人たちが一定数います。例えば、アウディのトランスポーターが会場近くの積み降ろし場に到着すると、こんなふうにカメラを構えた人たちが出待ちします。

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リヤゲートが開きました。前向きに降ろしてくれるのはチームの良心でしょう。

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みんな、フロントカウルの下を撮りたいのですから(と、勝手にそう思っています)。ポルシェもそうですが、外向きにカーブしたターニングベーン(矢印)を並べるのが2015年型のトレンド。

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アウディR18 e-tronクワトロの場合、フラップの角度調整ができる構造(丸囲み)になっています。

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WEC第2戦スパでロードラッグ仕様が登場したときから気になっていました。フロントセクションには3本の細いバーが並んでいますが、最後列は後方から空気が抜ける構造になっているのかそうでないのか。前から見ただけでは判断つきかねますね。

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後ろから覗いてみたら開断面となっており、中をタイロッドが通っていました。下から上に空気を抜く目的ではないようですね。2本目のバーも開断面になっています。狙いが気になります。

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後ろも(一部)見ておきましょう。車検の順番待ちをしているタイミングを狙って撮影します。ディフューザー両脇のプレートに5月31の公式テストから義務づけられたレインライト(矢印)が追加されていますね。

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車検場では下の写真のように、リフトを用いて車両を持ち上げ、テンプレートをあてて各部が規定どおりの寸法になっているかどうか、チェックします。

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ここも、下を覗くチャンス(とくにフロントまわり)なのですが、LMP2はリフトアップしてくれても、LMP1は上げてくれなくなりました(2014年からだったでしょうか)。なので、アウディR18 e-tronクワトロの場合、順序に従ってリフトには載るものの、持ち上がることなく降りていきます。

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集合写真などの記念撮影を済ませ、積み降ろし場に戻っていきます。

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ル・マン24時間:とりあえずサーキットへ [モータースポーツ]

1日目の公開車検は市内のレピュブリック広場で行われるのですが、メディアパスを受け取らないと取材活動ができないので、ひとまずサーキットに行きました。メディアの受付はサーキットの近くなので、わざわざサーキットの中まで入る必要はないのですが、ま、ついでですので。

「ル・マン」の標識。

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「ル・マン24時間レース」の広告看板。

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もういっちょ。

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サーキット(パドック側)で最も目立っていたのは、ポルシェの看板でした。メッセージはシンプルで、「歴史」。右側は1970年にポルシェにル・マン初優勝をもたらした917KH。2015年の919ハイブリッド17号車のカラーリングは、この917KHへの「トリビュート」だそう。

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ピットレーンに回ってポルシェのガレージを覗いてみましたが、車検の出番は翌日なせいか、カバーをかぶっていました。

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一方、この日車検を控えた46号車(Thiriet by TDS Racing/Oreca05/Nissan)は何やらいそがしそう。左側のライトがうまく点かないらしく、「これでどう?」などとやっています。

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取り込み中でしたが、フロントカウルとアンダーパネルの隙間を覗かせていただきました。

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NISSAN GT-R LM NISMOもこの日出番です。シェイクダウン以来、細かいところが変更を受けているようですが、リヤビューミラーもそのひとつ。5月31日のテストでも両仕様が見受けられましたが、ミラーを外側に移すようACO(ル・マン24時間レース統括団体)から指示を受けたよう。

こちらはオリジナル仕様。

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こちらはル・マン本戦仕様。後方視界はリヤビューカメラでも確認できるので、ミラーは「後方を確認する」機能に関してはサブ扱い。むしろ、縁石などに寄せる際、車両感覚をつかむのに利用する割合が大きいようですね。

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さて、F1見よう……。

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ル・マン24時間:公開車検前日のレピュブリック広場 [モータースポーツ]

ル・マンに着きました。その前にシャルル・ド・ゴール空港に降り立ったわけですが、希望に合った仕様が用意されていなくてレンタカー屋さんでひと悶着あり(借りたクルマについては後日お知らせする機会があるでしょう)、1時間ほどロス。232km離れたル・マンに向かいます。

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今日から9泊する部屋はこんなふう(ホテルの部屋マニア向け)。

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公開車検が行われるレピュブリック広場はホテルから歩いて5分ほどなので、腹ごしらえを兼ねて見に行きました。本番を待つのみ、といったところでしょうか。午後9時頃の様子。

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チケット売り場。

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トラムの停留所にあった「ル・マン期間中は便利なトラムに乗りましょう」キャンペーンの告知ポスターですが、図柄のベースはどう見てもNISSAN GT-R LM NISMOですね。

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と、撮影をしていたら、イギリス人の同業者にばったり。「飲む?」「飲もうか」みたいな感じで近くのカフェへ。車検場のまわりはカフェだらけなので、こういうとき便利です。ビール2杯で店を追い出されるまで話し込みました(日付変わっているし)。夜は冷えます(13℃)。

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なかなかいい情報交換ができました(半分くらいはF1の話題でしたが)。

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レインライトが追加されたLMP1/LMP2 [モータースポーツ]

公式テストで走行する車両を見てお気づきになった方もいらっしゃるでしょうが、このテストからLMP1/LMP2車両のリヤが変更を受けています。

きっかけはWEC第2戦スパで中嶋一貴選手(トヨタ)が遭遇したアクシデントでした。先行車が巻き上げる水煙などで前方の視界が悪く、先行するアウディR18 e-tronクワトロに追突してしまったのです。

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このアクシデントを受けてレギュレーションが変更になり、レインライトがリヤのトランスバーサルプレート(ディフューザーの両サイド)に2個追加されることになりました。被視認性を向上させるためですね。5月31日にル・マンで行われた公式テストから有効。LMP1は全車間に合いましたが、LMP2はすべての車両が対応できているわけではありません。

ちなみに、2015年のレギュレーション変更で、レインライトはリヤウイング翼端板に装着することが義務づけられました。

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では、トヨタを例にレインライトの変遷を振り返ってみましょう。2014年のトヨタTS040ハイブリッドはストップランプも含め、リヤのランプ一式をトランスバーサルプレートに収めていました。

2014年
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2015年仕様はレギュレーションの変更に合わせてリヤウイング翼端板に配置しています。

2015年〜Rd.2 Spa
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スパ後に行われたレギュレーション変更に合わせ、公式テストに持ち込んだ車両はトランスバーサルプレートのランプを復活させ、3灯のうちの1灯をレインライトに割り当てています。レインライトの消費電力は21W以上と定められています。乗用車のリヤフォグランプと同じですね。

2015年ル・マン公式テスト〜
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ポルシェ919ハイブリッドはこんな感じ。

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NISSAN GT-R LM NISMOはこんなふう。もともとは、量産GT-Rとの共通性を持たせた丸目4灯だったのですが……。

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最高速はトップだがコーナーでは……なNISSAN GT-R LM NISMO [モータースポーツ]

ル・マン24時間の前哨戦ともいえる公式テストが本戦の舞台、サルトサーキット(13.629km)で5月31日に行われました。ボディワークのディテールも本戦仕様となっており(まだ、隠しているでしょうが)、見どころたっぷりです。

ポルシェ919ハイブリッド
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アウディR18 e-tronクワトロ
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トヨタTS040ハイブリッド
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8時間のセッションでトップタイムを記録したのは、ポルシェ17号車で3分21秒621。すでに昨年のポールポジションタイム(3分21秒789/トヨタ7号車)を上回っています。アウディが競っており、トヨタが少し離され、ニッサンは本戦に向けてどこまで上げてくるか、というタイム。LMP2とLMGTEの(表はそれぞれ最速車両)ちょうど中間に位置しています。

公式テスト・プラクティス2(後半の4時間)/順位
(LMP1は各ワークスチームの最速、LMP2とLMGTEは各カテゴリーの最速車両。以下同)
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ポルシェに30秒近く離されているにもかかわらず(ちなみに、プラクティス1では23号車が3分43秒383を記録しています)、最高速はNISSAN GT-R LM NISMOがトップ。

NISSAN GT-R LM NISMO
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2014年のレースウィークを通じた最高速は、アウディ2号車とトヨタ8号車が記録した339.1km/hでした。ということを考えると、まだ伸びそうですね(当然、ラップタイムも縮まるでしょう)。

公式テスト・プラクティス2/最高速
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高速コーナーのポルシェカーブにおける区間タイムを見てみましょう。

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NISSAN GT-R LM NISMOはLMP2とLMGTEの間に戻っています。このことから、ストレートは速いけどコーナーは苦手とするキャラクターが浮かび上がってきます。

公式テスト・プラクティス2/ポルシェカーブ区間タイム
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今度はフォードシケインの区間タイムを見てみましょう。NISSAN GT-R LM NISMOはシケインを大の苦手としていることがわかりますね。本戦に向けてマシンを温存するため(ダメージを回避するため)、縁石を回避する走り方をしていた可能性もありそうです。

LMP1もLMP2もLMGTEも、シケインの通過に関しては大差ないことがわかります。

公式テスト・プラクティス2/フォードシケイン区間タイム
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約6kmの直線を2ヵ所のシケインで分断したセクター2の区間タイムを見てみましょう。NISSAN GT-R LM NISMOが競合を抑えて最高速を記録した区間ですが、区間タイムではLMP1の競合に対して約10秒の開きがあり(プラクティス1では23号車が1分23秒713を記録しており、約7秒差)、序列的にはやはりLMP2とLMGTEの間に位置しています。2ヵ所あるシケインの通過がとってももっさりしているのでしょうか。

公式テスト・プラクティス2/セクター2区間タイム
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本戦では序列の逆転はあるのか、NISSAN GT-R LM NISMOがどこまで競合との差を詰めてくるか、に期待して待ちたいと思います。

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