SSブログ

2013年のF1エンジン規定について [F1]

いろいろな情報や憶測が飛び交っているので、整理しておきましょう。現時点でFIAが公表にしている事柄は以下のとおりです。

・4気筒
・排気量1.6リッター
・高圧ガソリン噴射/最大500bar
・最高12000rpm
・燃料消費を35%削減
・高範囲なエンジン制御とエネルギー回生システム
・現状のパフォーマンスレベルを維持
・1ドライバーあたり年間5基(翌年は4基)

「持続可能性を向上させると同時に自動車産業の要求に応えるため」の変更です。要するにF1もグリーンであることを訴えたいのです。シリンダー配列について触れていませんが、まあ直列4気筒でしょう。「高圧ガソリン噴射」は直噴システムを指していると理解したいですね。乗用車用ガソリンエンジンの場合、最大噴射圧は200barを超えると伸び代が極端に小さくなると言いますから、500barもあれば十分でしょう。

そんなことよりも小排気量過給ガソリンエンジンをF1に使った場合、本当に将来の自動車産業のためになるかどうかが重要です。高回転・高負荷で、サーキットによっては全開率が75%に達するような環境で、過給エンジンのメリットが出るのでしょうか。

乗用車の世界でトレンドになっている(のは残念ながらヨーロッパ中心ですが)ガソリン過給ダウンサイジングエンジンのメリットは、過給によってトルクを高められるので、低い回転数で走行することができ、燃費が良くなること(機械抵抗が小さくなるのもメリット)。低回転域からトルクを発生するので、回転数をやたら上げなくても不満のない(多くの場合気持ちいい)走りができることでしょう。

量産車に用いる過給エンジンで重要なのは最高出力ではなく、低回転域や過渡の特性です。最高出力に気をとられて開発すると、せっかくの良さがそがれてしまいます。最高出力を高めようとすれば、大きくなる燃焼圧力や熱負荷に耐えるための設計が必要になってきますので。ごく一部のスポーツカー向けならまだしも、量販モデル向けの過給エンジンには不要な技術に思えるのですが(まったくないとは言いませんが)。

将来の過給は過給圧を高める目的ではなく、リーンバーン燃焼をするための空気を供給する目的で使う。そのためには自分で空気を吸ってくれる大排気量の方がいいと主張する自動車メーカーもあります。そうした流れも見えつつある状況で、「小排気量」「過給」という記号ばかり追い掛けていていいのでしょうか。「エネルギー回生=ハイブリッド」もそうですね。

手法については触れていませんが「燃料消費を35%減らす」とあります。現状160kgの燃料を消費しているのであれば、105kg程度(いっそのこと切りのいい100kgとか)の総量規制にすればいいんじゃないですか。そうして、あとは自由。過給でもいいし、自然吸気でもいい。ハイブリッドにするもしないも自由。要するに、効率のいいエンジンを作ればいいのです。どうせ新規にエンジンを開発することになるのですから。

おっと、こんなに長く書くつもりではありませんでした。写真がないと寂しいので、BMWの1.5L・直列4気筒ターボ、M12/13型をピックアップ。まさか四半世紀前と同じことの繰り返し、にはならないでしょうね……。

M12-13_blog.jpg
(写真:BMW)


nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:自動車

nice! 2

コメント 2

和泉モントーヤ

こんばんは。F1の高い全開率では、せっかくの直噴過給の良さを生かせないのでは残念ですね。個人的には新規定によって各メーカーが、吸気温度を下げるために高ブースト+ミラーサイクルの「カネサカサイクル」(兼坂弘先生提唱の)をこぞって採用しないかなぁ、と楽しみにはしてました。
by 和泉モントーヤ (2010-12-13 19:17) 

世良耕太

ミラーサイクル、いいですね。
となると可変動弁は許可してもらいたいところ。他に使い道もありますし。このあたりも含めて詳細、気になります。
by 世良耕太 (2010-12-14 16:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント