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【F1】2026年のF1パワーユニット規定(概要) [F1]

8月16日のFIAワールド・モーター・スポーツ・カウンシル(WMSC)で、2026年のF1パワーユニット・レギュレーションが承認されました。

現行パワーユニットと同等のパフォーマンスと構成を維持しつつ、マニュファクチャラー間で大きな性能差がつかないようにし、環境にもやさしく、コストの低減と管理に努め、新しいマニュファクチャラーにとって魅力的な内容にするのが狙いです。

今回はPUテクニカル・レギュレーションに加え、PUスポーティング・レギュレーション、PUファイナンシャル・レギュレーションについて概要が発表されています。

ここではPUテクニカル・レギュレーションについて、ポイントを抜き出していきましょう(写真はすべてイメージ。カッコ内は筆者補足)。

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2026 F1パワーユニット
PUテクニカル・レギュレーション

燃料
・(化石燃料由来の炭素を放出しない)完全にサステイナブルな燃料を使用。
・ICE(エンジン)の燃料流量は重量(kg)や容積(L)ではなく、エネルギー量(MJ)で規制する。

ICE(エンジン)
・1.6L・V6の形式は継続。
・最高回転数(15,000rpm)も維持。
最高出力を約400kW(544ps)に抑えるため、燃料流量を削減。
・制限は設けるものの、新燃料の導入にともない、燃焼室まわりの設計自由度を残す。
・開発の焦点を燃焼室などのアッパーパートに集中させるため、ブロックやクランクシャフト、コンロッド、補機類などのロワーパートはディメンション(寸法・体積・重量面)で厳しく規定し、ホモロゲーションの期間(その間、アップデートできない)を長く設定する。
・コスト削減のため、(部品の)共通化や簡素化を進める。
MGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止する。

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可変吸気システムを廃止する。

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・ピストン、クランク、ブロック、バルブ、インジェクター位置、ターボチャージャーのホイールなどについては、ディメンションの範囲を規定する。
・リーガリティボリューム(PUを配置していい寸法上の範囲。座標軸で規定)をさらに厳しく規定する。
・高コスト材の使用を制限する。
・インジェクターやノックセンサー、イグニッションコイル、パワーボックス、トルク/温度/プレッシャーセンサーなどに関し、コンポーネントや設計の標準化を行う。
・コスト削減の観点から、エキゾーストシステムや補機類は、PUのライフを通じて耐久性を保証するものとする。

ERS(エネルギー回生システム)
ERS(MGU-K)の最高出力は(現行の120kW)から350kWに引き上げる(エンジンの出力低減を補う格好。総合出力は現行PUと同等になる)。

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・エネルギーマネジメントがレースの醍醐味を生む重要な要素であることに変わりはない。
・市販車に用いる(バッテリー)セルやパワーエレクトロニクス、MGU-K(モーター)の技術との結びつきを強くするのがレギュレーションの狙い。
・有利不利が生まれないようにするため、各コンポーネントを配置できる位置を現行規定より厳しく規定する。

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エンジンの最高出力は400kW、MGU-Kの最高出力は350kWに規定されるので、MGU-Kアシスト時の総合出力は750kW(1020kW)になります。

これで現行PUの最高出力と同等って、一体いまのICEどれだけパワー出しているんだ、という話ですね。

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