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ルノー・ルーテシア0.9L・3気筒ターボ+5速MT搭載車 [クルマ]

やってくれましたね、ルノー・ジャポン。ルーテシアの新しいバリエーションは、2つの面で楽しみでした。1つは日本初上陸の0.9L・3気筒ターボ(66kW/135Nm)を搭載していること。2つめは5速MTを組み合わせていることです。

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話をうかがってみると、0.9L・3気筒ターボエンジン(TCe90)搭載グレードを日本に入れたかったというより、「マニュアルトランスミッションを用意したかった。それに尽きる」とのこと。

ガソリンエンジンは他に1.2L・直4直噴ターボのTCe120がありますが、TCe120は6速DCTとの組み合わせしか選択肢がなく、MTを入れようと思ったらTCe90との組み合わせしか選びようがないそう。粋な組み合わせは結果論なのですね。

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TCe120(88kW/190Nm)から1気筒落としたのが、TCe90(数字は「馬力」に由来)。TCe120は直噴なのに対し、TCe90はポート噴射。TCe120は吸排気ともに可変バルブタイミング機構を備えるのに対し、TCe90は吸気側のみ、という違いがあります。これらの違いもあって、圧縮比はTCe120の10.1に対し、TCe90は9.5です。



マニュアルトランスミッションで操っているせいか、非力さは微塵も感じませんでした。むしろ、どんな状況でもゴキゲン(クルマも人も)。首都高速も自分の間合い/ペースで気持ち良く走れました。

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ルノーのMT車に乗ると毎回感じることなのですが、「カチッとした」とか「節度ある」という感触ではないものの、かといって「ルーズ」とか「節度ない」といった表現もあてはまりにくく、なんとなくこんな感じだろうとシフトレバーを放り込んでいると、「いいんです、いいんです、その調子で」と鷹揚に受け止めてくれる感じ。気を遣う必要はないのに、能動的に操作している気分にさせてくれます。結果、気持ちいい。

乗るたびに、「やっぱマニュアルだよなぁ」と思ってしまう。逆に、日頃から「やっぱマニュアルでしょ」と思っている人はぜひ、乗ってみてください。

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フランスでクリオ(ルーテシアの本国名)のディーゼルエンジン搭載車+5速MTに乗った際のエントリー↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2013-06-28

一応「ECO」ボタンはついていて、押すとエンジンのトルクを制限したり、ペダルマップを制御したり、エアコンを制御したりします。2000rpm付近になると「上のギヤに変速しろ」と指示してきます。指示どおりに走れば燃費は良くなるでしょうし、走れないこともないのですが、精神的にはあまりよろしくありません。こもり音との付き合いも強いられますし。

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回転数など気にせず、自分の気持ちとリズムに従ってシフトアップし、ギヤ段を選択して走った方が何倍も気分がいい。その結果、燃費が悪くなるかというと、そんなこともなさそう。

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ルノーのクルマは6万kmをピークに、そこに向けて少しずつクルマがなじんでいくという話を聞きました。だから、新車時は動きが硬いのだと。走り込んだレンタカーが妙にしっくりくるのは、仕様や走行環境の違いではなく、走行距離の違いがもたらす、なじんでいるかなじんでいないかの違いなのか……と合点がいった試乗体験でもありました。

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『モータースポーツのテクノロジー 2014-2015』のコンテンツ紹介その2 [モータースポーツ]

前回はNRE(Nippon Race Engine)について触れましたので、今回はそれ以外のコンテンツについてお知らせします。



特集のくくりは「パワーユニット」ですが、エンジンばかりでなく電動系も含んでおります。そのひとつがフォーミュラE。もうひとつは三菱自動車がパイクスピークに投入した電気自動車です。

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2012年から3年計画で参戦しましたが、3年間の進化について話をうかがいました(全10ページ)。個人的には非常に興味のあったテーマで、念願叶ってようやくページにまとめることができた、というのが実感です。

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SUPER GTに関してはエンジン(NRE)だけでなく、空力についても取り上げています。SGTは2014年からDTM(ドイツツーリングカー選手権)と技術規定を共有することになり、空力に関するレギュレーションが激変しました。空力開発のアプローチに関して、何がどう変わったのか、についてまとめています。

こちらはニスモ(NISSAN GT-R GT500 NISMO)のページの一部。

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こちらはトヨタ(レクサスRC F)の一部。

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WECに関してはパワーユニットの特集でもLMP1-H各車(すなわちトヨタ/ポルシェ/アウディ)について触れていますが、車両全体に関しても考察しています。ストラッカ童夢S103のチーフデザイナーを務めている童夢の湯地浩志さんに話をうかがいました。レーシングカーデザイナーの視点で6台の最新マシンを解説していただいています(全14ページ)。「へぇ、そういうところ見るのね」と、参考になります。

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『モータースポーツのテクノロジー』の前身にあたる『F1のテクノロジー』シリーズ(2010年〜2012年)から受け継いでいるのが、その年のF1マシンの総括です。あとで振り返ったときに、「あぁ、2014年のF1はこうだったね」と思っていただければ幸いです。

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こちらはマクラーレンのリヤサス。凝ってます。

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特集ではメルセデス・ベンツ、フェラーリ、ルノーのパワーユニットを「ウォッチ」しています。

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前ページプレビューはこちら↓
http://3a.as-books.jp/books/info.php?no=MFS20141224

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『モータースポーツのテクノロジー 2014-2015』の巻頭はNRE [モータースポーツ]

『モータースポーツのテクノロジー 2014-2015』が刷り上がって参りました。店頭には12月24日に並びます。Amazonではまだお買い求めいただける状態になっていないようです(悲しい)。※12/23追記:お買い求めいただけるようになりました。

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中身を少し紹介いたしましょう。今回は『パワーユニット新時代』と題して50数ページをくくっています。巻頭はNRE。Nippon Race Engineのことで、2014年のスーパーフォーミュラとSUPER GTに投入された2L・直4直噴ターボエンジンです。

トヨタのエンジン(RI4A)を取り上げています。エンジンの右、左をじっくり見ていただきましょう(文字はダミー。デザインも一部変更あります)。どうしたってターボのある排気側に注目したくなりますね。

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どんな理念で設計されたのか。どういう開発が行われているのか、詳しく紹介します。

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「出したい性能が出せるから」と、量産部品も使われています。どこなのかは誌面でご確認ください。

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こちらは日産/ニスモのNR20A。NISSAN GT-R NISMO GT500のボンネットフードの下には、こんなに格好良く、コンパクトなエンジンが収まっているのですね。しかも高出力で燃費がいい。

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共通部品のターボや直噴システムがレーシングエンジンの開発にどんな影響を与えているのか、などについて掘り下げています。

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その他の企画については次回お知らせいたしましょう。



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2014 TOYOTA Racing WEC活動報告会 [モータースポーツ]

1週間前の話です……。「2014 TOYOTA Racing WEC活動報告会」に出席してまいりました。

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マニュファクチャラーズチャンピオンのトロフィーが展示してありました。「FIA WORLD ENDURANCE CHAMPIONSHIP WINNING LMP1 MANUFACUTURER」と書いてあります。矢印の先に「2014 TOYOTA」のプレート。

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「参戦活動振り返り」のパートでは、空力開発の説明がありました。前後合わせて1450kgのダウンフォースを発生していることを示しています。静止時の前後重量配分が50対50なのに対し、280km/h(?)走行時は44対56な点が気になりますね。逆さを向いたクルマが置いてあるのは、理論上、天井にへばりついて走ることも可能であることを示しています。

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空力開発の進展ぶりを時系列で追ったグラフです(左から2012〜2013〜2014年の順)。縦軸はL/D(ダウンフォース値をドラッグ値で割った数値)です。空力効率を高めたところでレギュレーションが変わってリセットを強いられ、の繰り返しです。空力だけでシーズン中に2〜3秒も性能が向上していることがわかります。縦軸のひと目盛りはL/D0.1でしょうか。

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話は戻ってトロフィーですが、タイトルを獲ったマニュファクチャラーの所有物になるわけではないそう。展示してあったトロフィーは借り物で、保管箱に「exclusively FIA property」と書いてあります。返却する際はこの専用ケースを使うこと、と。

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こんなふうに収まっています。

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『モータースポーツのテクノロジー 2014-2015』は12月24日発売 [モータースポーツ]

雲隠れしていたわけではなくて、身動きがとれなかったのです(涙)。ようやくすべての編集作業が終わり、本の刷り上がりを待つのみとなりました。『Motor Fan illustrated特別編集 モータースポーツのテクノロジー 2014-2015』は12月24日発売です。

表紙はメルセデスAMGのF1用パワーユニット(1.6L・V6直噴ターボ)です。エンジン前面が見えていますが、Vバンクの中央に6Pチーズならぬ5Pチーズのような金属の物体が見えますね。これがコンプレッサーの入口。誌面ではもう少し詳しく観察しています。

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巻頭(といっても50ページ以上ありますが)の特集テーマは「速さ=高効率」です。日欧のパワーユニットを取り上げています。「日」はスーパーフォーミュラ/SUPER GTが2014年に導入したNRE(Nippon Race Engine)、すなわち2L・直4直噴ターボです。本邦というか、世界初公開でしょう。写真を眺めるだけでワクワクします。

詳細は追って。

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「東レ・カーボンマジック新工場竣工」その3 [モータースポーツ]

では、新設の第3工場に足を踏み入れてみましょう。と、その前に。多目的消防ポンプ自動車(MVF/モリタ製)のルーフです。これがCFRP製(57kg)。この手のクルマは各種装備を載せるため、重心が高くなりがち。カーブで転倒しないよう、従来はバラストを載せることもあったそうですが、ルーフを軽量化することで低重心化に貢献しているそう。

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では、第3工場内へ。塗装ブースです。わかりますでしょうか。日産GT-Rニスモのリヤウィングが見えますね。

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こちらは、2015年に非破壊検査の一種である超音波探傷設備が入る部屋です。コンポジット内部のボイド(空洞)や異物を立体的に可視化します。

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その隣の部屋では、レーザートラッカーを用いて三次元測定(のデモンストレーション)をしていました。

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レクサスLFAの内外装部品の一部も東レ・カーボンマジック(TCM)製です。

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童夢F110+トムスTZR42のF4マシン、のモノコックはTCM製。

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童夢F107(F3)のモノコックと風洞モデル。

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SUPER GT GT500の共通モノコックもTCM製。

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レクサス/日産/ホンダの3車が並んでいましたが、じっくり眺める時間はなく(じっくり眺めるのを許す環境でもなかったですが……)、退散。

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「レースをやめるとカーボンコンポジットの進化が止まる。だからレースはこれからもやっていく」と、TCMの取締役副社長、奥明栄氏は語ってくれました。

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「東レ・カーボンマジック新工場竣工」その2 [モータースポーツ]

東レ・カーボンマジック(TCM)は、東レのCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)部品製造・販売子会社です。このたび、TCM敷地内に20億円弱を投じて新設したのは、成形型や治具、製品などを収納するモノリス(ラック式自動立体倉庫/高さ約30m/パレット数1654台)と、塗装や検査など、製造工程に必要な設備を収めた第3工場です。既存の第1工場や第2工場の一部も、硬化・成形/トリム・切削などに関する設備を増強させました。

TCMはCFRP部品の試作・少量生産拠点の位置づけ。タイのカーボンマジック・タイランド(CMTH)を量産拠点と位置づけ、業務拡大に対応する構えです。日本で開発〜タイで量産〜日本で検査〜出荷という流れが基本。自動車用途のみならず、航空部品を含めて守備範囲を広げていくそう。

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(クリックで拡大)

では、設備を順次見ていきましょう。まずは、CFRP部品の硬化成形に用いるオートクレーブ。第1工場にあります。左から4/6/2/1号機の順。3号機はタイに移設。口の開いている6号機は新設で、羽生田鉄工所製。内径は2000mm×5000mm。

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各種工作機械は第2工場に集中しています。写真は5軸NCルーター(庄田鉄工製)の説明板。自動車用内外装品の切削などに使用。

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DMG MORIの文字を見ると、WECマシンのポルシェ919ハイブリッドを連想するほどに刷り込まれておりますが、4種類のマシニングセンターが設置してありました。

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こちらはウォータージェット。マッハ3の水流でCFRP部品をカットします。

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こちらは加工例。切削、トリムの手法もいろいろありますね。

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塗装や検査、自動車およびレース関連部品の製作については次回……。

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「東レ・カーボンマジック新工場竣工」その1 [モータースポーツ]

東レ・カーボンマジック(以下TCM/滋賀県米原市)の新工場が竣工しました。

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3ヵ月ほど前にお邪魔したときは「童夢」らしさが残っていたのに、というより、童夢の敷地の奥にTCMがあるイメージでしたが、今ではすっかりTCM一色です。看板が掛け変わると、イメージががらっと変わるものですね。

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以前はこうでした。

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童夢からトヨタ自動車への売却に向けて交渉中の風流舎(風洞実験設備)とTCM側との境界にはフェンス&植え込みが設けられていました。

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以前はこんなふう。

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ヘッドオフィスにアクセスするアトリウム(TCMの社名が掲げてある建物の地上階)に、3台(童夢零、S102.5、F105)のマシンが展示してあるのは、3ヵ月前と変わっていませんでした。

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TCM内部の様子は次回お伝えしましょう。

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ディテールいろいろ [モータースポーツ]

取材内容のディテールをお話するのはもう少し先になりそうですので、3件の取材を通じて見せていただいた大きな物や小さな物の一部(ほぼ全体が写っている物もありますが)をお見せすることにします。

風洞実験施設の巨大なファンも似たような形していたような気がしますが、これはずっと小さな部品。熱い流体を受け止めて回る側(の出口)がこちら。

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高回転で回って流体を圧縮する側(の入口)がこちら。

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先端が煤で黒くなっており、使用後なのが一目瞭然です。

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こちらは使用前。量産部品に見えますね。

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(個人的に)構造美を感じるアングルです。

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競技車両なのですが、操作系はとてもシンプルです。

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続報はいずれまた。

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WECで「世界一」を証明したトヨタTS040ハイブリッド [モータースポーツ]

トヨタがWEC(世界耐久選手権)に投入したTS040ハイブリッドは、アウディとポルシェを相手に戦って年間タイトル(マニュラクチャラーズチャンピオンシップ)を獲得し、世界一であることを証明しました。

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チャンピオンはクルマだけの実力で獲得できたわけではないし、ドライバー(ドライバーズチャンピオンシップも制し、ダブルタイトルを獲得しています)の働きも欠かせず、チームのオペレーションを忘れるわけにはいきません。

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でも、ことハードウェアに関して言えば、(空力やシャシーの性能も無視できませんが)「決められた燃料をいかに効率良く使うか」というフォーマットに変わった2014年、もっとも上手に対応できたのがトヨタで、その証明としての年間タイトルと理解していいでしょう。

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で、ここからは(再)宣伝なのですが、トヨタ、アウディ、ポルシェなどの2014年型WECマシンに関する技術面の詳細については、7月2日に発売したル・マン/WECのテクノロジー (Motor Fan illustrated Special Edition)にまとめております。

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「決められた燃料をいかに効率良く使うか」という命題に対しては比較的自由なアプローチが認められており、三者三様です。トヨタ、アウディ、ポルシェがどのようなアプローチでパワーユニットを構築したか、についてもまとめています。

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3メーカーが参戦するLMP1-Hカテゴリーはエネルギー回生システムの搭載が義務づけられていますが、どんなシステムを搭載するかも比較的自由。レースという過酷な環境でエネルギーを回収する難しさ(だからこそ、取り組む価値がある……)などについてもまとめています。

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トヨタがレーシングハイブリッドの開発を始めたのは2006年のことでしたが、以後の開発の流れを振り返ってもいます。

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「世界一の中身」を理解する助けにどうぞ。



チャンピオンマシンかぁ。

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