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2014年F1テクニカルレギュレーション:ERS編 [F1]

KERS(Kinetic Energy Recovery System)改めERS(Energy Recovery System)です。エネルギーの回生を運動エネルギー(Kinetic)だけに頼らず、排気による熱エネルギー(Heat)に頼ってもオーケーになっための名称変更です。

モーター/ジェネレーターユニット(MGU)は2種類。従来のKERSと同様、制動時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するMGUを、MGUK(Motor Generator Unit - Kinetic)と呼びます。一方、排気エネルギーを電気エネルギーに変換するMGUはMGUH(Motor Generator Unit - Heat)。エネルギーを回収する手段はMGUKとMGUHの2種類(それぞれ1基ずつ搭載可)ですが、パワーアシスト手段として使えるのはMGUKのみです。

排熱エネルギーを回収する手段としては、ランキンサイクルシステム(排気熱で発生させた蒸気でタービンを回し、発電)や熱電変換システムがありますが、MGUHはそれらに比べてはるかにシンプルな手段。タービンホイールとコンプレッサーホイールを結ぶシャフトの同軸上にMGUを配置。排気エネルギーでタービンを回すと、コンプレッサーと一緒にMGUが回って発電する仕組み。MGUKと違って、エンジンがかかっていれば常に回生できるのが利点。

さて、規則ですが、主な項目を抜粋すると以下のとおり。

・MGUKの最高出力は120kW(163.2ps)。
→現行規則では60kWなので、倍増です。

・1周当たりに放出できるエネルギー量は最大4MJ。
→現行規則は400kJなので、10倍。最高出力で最長33.3秒使える計算(後述するピットレーン走行も含むのかな?)。

・MGUKは固定レシオによる機械的なリンクによってクランクシャフトと接続すること。
→増速したり減速したりしてはいけない、ということですね。

・ドライバーが着座している際はいかなるときも、外部からの補助なく、エンジンが始動できなければならない。
・ピットレーンを走行する際は常に、エレクトリックモードで走行しなければならない。
→ピットレーンはEV走行をしろ、ということですね。それを可能にするために、外部スターターを廃止し、MGUを使って始動しなさいということです。思い切ったことしますが、およそ400mのピットレーンをEV走行しようと思ったら、エネルギー貯蔵量はそれなりに必要だし、回生の手段もキネティックだけでは不十分という考えなのでしょう。ル・マンのハイブリッド車両がピットレーンのEV走行で苦労した例を参考にしたのでしょうか。

・ERS減圧バルブを使って、リヤブレーキ作動時の液圧を減らすことが可能。バルブはFIA指定業者の製品を使用すること。
→パワーアシスト量が倍増したことへの対処でしょう。MGUKが発生する制動力が以前より強くなるので、何の対処もしなければ制動時の挙動が不安定になります。なので、MGUKの制動力が強くなるぶん、油圧ブレーキによる制動力を減らしていいということですね。ようやく、ダイナミックな前後ブレーキバランスの制御が可能になります。

エネルギー貯蔵装置(ES)に関しては特別な記述がないので、バッテリーだけでなくフライホイールを選択する余地が残っていそうです。

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