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フェラーリF150の気になるところ [F1]

合同テストの前日、あるいは当日の朝にサーキットのガレージ前でさっとお披露目を済ませるケースが増えている状況で、フェラーリはきちんと“儀式”を行ってくれました。こういう行動が「違うな」と思わせる要因。当事者も儀式の効果を十分に意識して、続けているのでしょう。

さて、2011年のF1マシン第1号を写真と動画で眺めたときに、「目が行ってしまったところ」をまとめてみました(写真はすべてFerrari)。

ferrari_f150_1.jpg

1.フロントウィング:2010年シーズン後半に使っていたのと同じ形態です。これが最適解なので変更する必要はない。ということではないでしょう。先端からリヤエンドまで、ボディ形状は大きく変わっているので、新しいボディに合った最適解はあるはず。開幕戦でどんな形になっているのか、楽しみです。

2.モノコック下のターニングベーン:これも「流用」ですね。しかし、極端に高いノーズとL字形のターニングベーンを見るにつけ、見投入に終わったトヨタTF110との近似に思いを馳せてしまいます。

3.バルクヘッド断面:2010年のF10はいわゆるVノーズでしたが、F150はスクエアな形状に戻してきました。このあたり、モノコックの高さ制限が厳しくなったことと関係あるのでしょうか。この後出てくる他チームの新車で確かめたいと思います。

4.フロントサスペンション:F10はセンターキールにロワーウィッシュボーン前側アームをマウントしていましたが、F150はゼロキールになっています。モノコック下の空間を重要視した結果でしょうか。

5.サイドポッド開口部:F10は下側まで開口部が延びていましたが、F150では上部に集中しています。レッドブルRB6の影響でしょうか、インレットもアウトレットも最小に(してドラッグを減らす)、の意識を徹底しているように感じます。

6.インダクションポッド:目視での比較にすぎませんが、やはり開口部面積は小さくなっているよう。

ferrari_f150_2.jpg

7.リヤサスペンション:プッシュロッドが前傾しています。ダンパーなどのユニットを前方に寄せてリヤエンドの空間ボリュームを大きくとる考えでしょう。2010年のルノーR30がとった手法ですね。

F150は「前後のサスペンションを結んでいる」というウワサがありますが、だとすると、ピッチ制御でしょうか。前後の車軸で独立したピッチ制御機構は従来からありましたが、ウワサされているのは、前車軸側と後車軸側を油圧で結び、制御する仕組み。日本のSUPER GTでも某メーカーがかつて開発したことがありました。それと同種、でしょうか。

ferrari_f150_3.jpg

8.エンジンカウル:シャークフィンではありませんが、当然、検討しているでしょう。熱交換機を通過した空気は後端のスリットから排出する設計。ここも暫定でしょう。

9.ブローンディフューザー:ここも暫定と見てよさそうです。どうなっているのか、公開された写真や動画ではよくわかりませんね。

ferrari_f150_4.jpg

10.リヤウィング:ずいぶん切り立っていますが、イタリア国旗色をはっきり見せるための演出でしょうか。後縁中央部に切り欠きがありますが、剥離防止、乱流制御のアイデアでしょうか。

11.ビームウィング:F10では後部衝撃吸収構造を境に2分割になっていましたが、F150はクラッシャブルストラクチャーをS字形にして逃げ、1枚翼としています。サイドポッドがリヤに向けて急傾斜していることが、おぼろげながら伝わってきますね。

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コメント 4

ルカ・ディ・モンテツェモロ

コクピット後部のボディにも注意してください。燃料タンクが大きくなって太っていますが、KERS搭載でも可能な限り絞り込みました。
by ルカ・ディ・モンテツェモロ (2011-01-29 14:31) 

世良耕太

直々にご指摘ありがとうございます。
シェルとの共同作業で燃料の開発が進み、エンジンのマネージメントも進んで、燃料タンク容量を減らす努力もしているはずだとお察しいたします。
言われてみれば確かに、スリムですね。
by 世良耕太 (2011-01-29 14:57) 

とみまきねん

発表間もないのに詳細な解説、先生も太っ腹ですね。特に“サスペンションのウワサ”には驚きました!
もし3rdダンパーが前後の間でしかオイルの移動がなく、各3rdダンパー内での通常のオイルの移動がないものだとしたら、荷重は3rdダンパー同士でのみ受け止める、ロールやピッチを許しても車高変化のしない足になりませんか?無給油の今のF1ではむしろ通常より柔らかい足に出来るみたいな…。

いつも妄想癖、スミマセン。
by とみまきねん (2011-02-01 20:20) 

世良耕太

とみまきねんさん、妄想癖なら負けていません。

暴論ですが、ダンパーやスプリングなどなくとも、タイヤのたわみとサスペンションアームのインボード側金属製端部のたわみ要素だけでそこそこ走れてしまうのではないか、と思っていたりもします。
by 世良耕太 (2011-02-02 03:22) 

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