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【レースな世界紀行2004】その8の2 [レースな世界紀行 2004]

片付けものしていて「どうしたんだコレ」と思っていたモノの正体というか、手に入れたいきさつが明らかになりました。ま、例によって忘れていただけなんですが。

その8の2
F1第4戦サンマリノGP
イタリア・トリノ〜ブリジゲッラ〜イモラ

で、サンマリノ共和国ならぬイモラに向かったわけだか、宿泊地はサーキットから西へ25km離れたブリジゲッラという山の中だった。サーキットは大抵郊外にあって、サーキットのほかに観光の目玉になるようなスポットはない。だから、宿泊施設はまばらである。いきおい、サーキットの近くに点在するわずかな宿泊施設は、年に一度の大イベントのために訪れる関係者であっという間に埋まってしまう。“たまに訪れる”ような人たちは、20kmや30kmは離れた宿を覚悟せねばならない。

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ブリジゲッラはイタリアの田舎の典型のようなところである。道の両サイドはオリーブ畑。畑を縫うように、1本道がくねりくねりと延びている。クルマで70〜80km/h出して走るのにちょうどいい。

どうしてそんなところに宿があるのかといえば、ブリジゲッラは中世の城や街並みで有名だからだ。高級オリーブオイルの産地でもある。近くには蜂蜜の産地もある。そうして、避暑地の観光ホテルのような様相を呈したホテルが崖に張り付くように4軒ばかりある。崖のふもとには大きな温泉場もある。これも観光客を引き寄せる理由である。

フランスからやって来たらしい観光客の一団を見かけたが、観光地といえども人影はまばらだ。中世の噴水と中世の塔と教会とが並んだ町のメインストリートに出かけたところで、人っ子ひとりいない。といって、ゴーストタウンのような寂しさ、侘びしさはなくて、のんびりほのぼのしたムードが漂っている。

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理由は所在なげにたむろっている老人だろうと見当をつけた。人っ子ひとり、というのは歩いている人のことで、人がまったくいないワケじゃない。道路に椅子やテーブルを広げたバルがそこかしこにあり、リタイアした老人がけだるそうに腰を下ろしている。会話を交わしている老人連中もいるが、激論をかわしている老人はいない。ただ黙って座っている老人連中ばかりだ。見慣れない東洋人などがうろうろしているのが珍しいのだろう。通りを歩いていると、好奇に満ちた視線を浴びることになる。

名物のオリーブオイルでも買って帰ろうと思ったが、どの店も閉まっていた。ドアの張り紙を見ると、12時から3時までは昼休みであることがわかる。3時に開いた店は7時に閉まる。夏時間に入ったヨーロッパの春の日は長く、8時頃まで照明なしで読書を楽しめる。日中は半袖で十分だが、湿度が低いせいで木陰は涼しい。朝晩は上着が必要なほどに冷え込むが、冷え加減がいい具合に気持ちと体を引き締めてくれる。

後日出直して、軒先にオリーブオイルを並べた1軒に入り、750ml入り17.7ユーロ也のエクストラ・バージン・オイルを1本買った。

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近くのリストランテでは、わずか2ユーロでカレー皿大の大きな皿にサラダを山盛りに盛って出してくれる。サラダと一緒に地元産のエクストラ・バージン・オイルとアチェト・バルサミコのボトル、それに塩の入った容器をテーブルに置いてくれる。

回転寿司の醤油と同じで、調味料はすべてただ。生のレタスにオリーブオイルをたっぷりふりかけ、バルサミコを水玉模様がつく程度に振りかける。緑と紫のコントラストが食欲をそそる。最後に塩をさっとふりかけて完成。至ってシンプルだが、最高のグリーンサラダが出来上がる。

2004年のサンマリノGPは、いつもよりちょっと特別なグランプリだった。1994年にアイルトン・セナがレース中の事故で亡くなってちょうど10年になるため、記念のイベントごとが多く予定されていたからだ。

サーキットの近くでセナの写真展が行われていた。ゲートの近くでは、発売されたばかりのセナの写真集を売っていた。メインゲートの近くに貼ってあった宣伝ポスターを眺めていると、恰幅のいいイタリア人のおじさんが近寄ってきて腕を引っ張る。引っ張られるままに着いていくと、写真集を売っている小さなブースに連れて行かれた。

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おじさんは狭いブースの中にいる若いおねーさんにものすごい勢いで話しかけている。残念ながら、内容は100%理解不能である。「買わされるのかな」と覚悟を決めたが、おじさんの話に納得したおねーさんは、ブースの奥からゴムで巻いたポスターを1本取り出して、僕に手渡した。おじさんは、僕がポスターを見る様子に物欲しげな雰囲気を感じ取ったのだろう。

厚意をありがたく受け取ることにし、一旦は立ち去ったが、おねーさんのやさしい笑顔が忘れられずに引き返し、写真集を買った。なぜか、はにかんでいる。こういうとき、言葉ができれななぁ、と思う。
(つづく)

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