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ピストンリングにご執心 [クルマ]

ピストンリングのことが気になって夜も眠れません。というのは、もちろん大げさですが、個人的に最近とっても注目のアイテムです。きっかけはF1エンジン。軽量化やフリクション低減による高回転・高出力化と聞いて思い浮かぶのは、ピストンやバルブ、コンロッドの軽量化、要所に施すDLCコーティングなどでしたが、ピストンリングの張力低減が攻めどころだと聞いて、興味が湧きました。

例えばホンダの場合、2006年に投入した2.4L・V8エンジンのピストンリングは2本。2本なのはレーシングエンジンとして一般的ですが、トップリングはコーティング処理を施したチタン材(削り出し加工)。で、トップリングなのにオイルリングのように背面にコイルスプリング(にはDLC加工)を置いて張力を発生させる仕組み。このリング使うだけで出力が10kW以上上がったと聞いて、俄然興味が湧いたわけです。

下はイメージ写真です。上はマーレが手がけるF1用各種アイテム。下はトヨタF1エンジンのピストン/コンロッド/クランクシャフト(は、よく見えませんが)。

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そんなこんなでピストンリングのことが気になっていたところ、乗用車用ピストンリングの「いろは」を教わる機会がありました。教えてくださったのはリケンです。詳しくはMotor Fan illustrated Vol.46にまとめたので割愛しますが、ピストンリング、ますます好きになりました。

お邪魔したのは新潟県の柏崎事業所でしたが、昭和のムードたっぷりな建物がいい(と、脱線)。リケンの前身は理化学研究所(「理」と「研」でリケン)。1927年には、この研究所で発明されたピストンリングを事業化する組織「理化学興業」が設立され、1932年に柏崎にピストンリング専用工場が建設されたわけです。

戦前・戦中は軍用車・軍用機に用いるピストンリングの工場だったこともあり、敷地内に軍関係者が用いるレストハウスが建てられました。現存するその建物でレクチャーを受けたわけですが、これまた昭和のムードたっぷりで感激しきり。昭和の建築好きも手伝って、すっかりリケン・ファンです。

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話はピストンリングに戻って、7月16日に日産自動車が1.2L・直列3気筒直噴スーパーチャージャーエンジンを発表しました。2011年前半にヨーロッパで投入するマイクラ(日本名マーチ)に搭載するエンジンです。久々のミラーサイクル・エンジンであることにとっても興味が湧くのですが、ピストンリング・ファンとしては、まだまだ一般化しているとは言い切れないDLCコーティングを施しているところに、「おっ!」と反応してしまうわけです。

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ナノテクノロジーファン

 某博士のCCSCモデル(新境界潤滑理論)がノーベル賞に上がっていて、ナノベアリングの社会実装も最近自動車のエンジンのピストンリングで成功したとのこと。その特殊鋼、新合金Xは窒化レスでいけるとのこと。
by ナノテクノロジーファン (2020-09-01 18:19) 

世良耕太

このエントリーから10年ですものね。ピストンリングも進化していますね。
by 世良耕太 (2020-09-03 00:02) 

つるぞうケンイチ

さすが無敵艦隊の旗艦鋼種、大同少尉殿も臣下の礼を尽くすことだろう。
by つるぞうケンイチ (2020-11-09 22:18) 

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