ゴードン・マレーのT.50は順調に開発が進む [クルマ]
T.50の概要は過去エントリーでご確認ください。
ゴードン・マレーが設計した「T.50」スーパーカー
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2019-06-05
ゴードン・マレーのT.50はレーシングポイントと組んで空力開発
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2019-12-13
T.50はコスワースが専用開発する3.9L・V12自然吸気エンジン(650bhp、12100rpm)を搭載しますが、2020年3月には、3気筒テストエンジンで台上試験する様子が公開されています。
Gordon Murray Automotive reveals the website for the new ‘T.50’: the purest, lightest, most driver-focused supercar ever - https://t.co/8s8KYDV0TH
— Gordon Murray Design (@PlanetGMD) March 23, 2020
“We expect this to be the last and the greatest analogue supercar ever built.” – Gordon Murray CBE#FanCar #T50 #Supercar pic.twitter.com/pRq5NE9xd6
YouTube公式チャンネルの動画はこちら↓
T.50の公式サイトでは、Xトラック製6速マニュアルトランスミッションを開発する様子を収めた動画を見ることができます。
gordonmurrayautomotive.com/en/
これまでの開発の流れと、今後の予定をまとめると次ぎのようになります。
・コスワースは、3気筒(試験用)エンジンの開発プログラムに着手。パワー、トルク、排ガス規制の目標はすでにクリア。
・V12エンジンのシリンダーヘッド、クランクシャフト、ブロックの機械加工が進行中。
・コスワースGMA V12エンジンは2020年6月末に実走行の予定。
・Xトラック製トランスミッションの1号機が供給され、テスト中。
・カーボンファイバー製モノコックの開発は、パートナーであるFromaplex社と進行中。
・リヤに搭載する「ファン」の組み立ては完了し、テスト中。
・CFDを用いた空力開発は完了。ファンのアシストによる空力性能はターゲットを上回る。
・T.50のプロトタイプは2020年9月に完成の予定。
・最初のT.50がカスタマーの手元に届くのは、予定どおり2022年1月から。
GMAは下のようなインフォグラフィックを公開しています。
(クリックで拡大)
T.50がいかにライトウエイト(軽量)であるかを強調したもので、次のような記述があります。
・トランスミッションは(マレーが設計した)マクラーレンF1のトランスミッションより10kg軽い。
・V12エンジンは180kg以下で、マクラーレンF1の(BMW製V12)エンジンより60kg軽い。
・ペダルボックスは、マクラーレンF1より300g軽い。
・モノコックとボディパネルの重量は150kg以下で、高強度超軽量なカーボンファイバーを使用。
・ウインドスクリーンは一般的なガラスに比べて28%薄い(軽量化のため)。
・900ヵ所のフィクシング(部品の固定部分)は重量の観点から最適化。チタン製のファスナー(留め具)を使用。
次の情報公開が楽しみです。
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2020年以降のF1規則 新型コロナウイルスの影響で修正 [F1]
変更点は多岐にわたりますが、FORMULA 1が動画でポイントを5つに絞って紹介しているので、それに乗っかってまとめていくことにします。
1. コストキャップの導入
2021年に導入される予定でしたが、締め付けが厳しくなりました。新型コロナウイルスの影響で経済状況が厳しくなったのを受け、1億7500万ドル(1ドル=108円として189億円)に設定されていた年間のコストが1億4500万ドル(156.6億円)に引き下げられました。
2022年は1億4000万ドル(151.2億円)、2023年は1億3500万ドル(145.8億円)に引き下げられます。
2. スライド制空力テスト制限の導入
一律だった風洞テストの制限が、前年のコンストラクターズ選手権の順位に応じたスライド制になります。
2020年は1週間に65ランの風洞テストが認められていますが、2021年は40ラン/週に削減されます。選手権1位(つまりチャンピオン)の場合、ラン数は90%、36ラン/週となり、10位(つまり最下位)になるとラン数は112.5%、45ラン/週が割り当てられます。
強いチームの開発を制限する一方、弱いチームを優遇し、パフォーマンスの差を縮めようという意図です。
2022から2025年は、割り当てが上位チームに厳しくなります。
FORMULA 1の記事に表が載っています。
https://www.formula1.com/en/latest/article.how-f1s-new-sliding-scale-aero-testing-rules-work-and-what-impact-they-will.pn0sG8N4A0cjbNRbdYx8a.html
3. シャシーの開発凍結/ボディワークは開発可(2021年)
2021年に向けては、モノコックやサスペンション、ギヤボックスの開発が禁止されます。一方で、前後ウイングやサイドポッド、ディフューザーなど、ボディワークの開発は認められます。
2020年は2019年スペックのタイヤで走ります。2021年も同様。2019年向けのタイヤは2021年まで使うことを想定していなかったので、空力開発によって増える荷重に持ちこたえられるかどうか不安なのだそう。
そこで、フロアの後端、リヤタイヤの前に位置する部分を一部カットし、ダウンフォースを減らす策を講じます。
カットする部分はFORMULA 1の記事でご確認ください。
https://www.formula1.com/en/latest/article.revealed-the-key-performance-area-being-closed-off-as-f1-trims-2021.3vEQAuYGUJxGteSx3JEmKi.html
フロアの一部をカットすることによって、ラップタイムが0.5秒遅くなると見込んでいます。
4. 新レギュレーションの導入は2022年に延期
3月に発表済みですが、2021年に予定していた(18インチタイヤの導入などを含む)新レギュレーションの導入は、2022年に延期されます。
コストキャップの導入がどのような影響を及ぼすのかに注目、でしょうか。
5. パワーユニットのアップグレード回数削減
2020年から施行されます(2020年は一部を除いてアップグレード不可)。
2023年のアップグレード(基本的に年1回)を最後に、2025年まで開発は凍結されます(2024年は燃料とエンジンオイルのアップデートが可)。
空力開発のようなスライド制は導入されません……。
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【ニューウェイ本】1992年F1モナコGPでマンセルがタイヤ交換した理由 [F1]
『エイドリアン ・ ニューウェイ HOW TO BUILD A CAR - F1 デザイン -』では、270ページ(CHAPTER 36)にモナコGPに関する記述があります。
ナイジェル・マンセルがタイヤ交換を行った、詳細な理由も。
「残り10周で片方のリアホイールのナットが緩んだ……」
「(スタート前)メカニックがホイールを取り付けたときに……」
「とても多くの小さくてつまらないことが、躓きの原因になり得る……」と記しています。詳細は本書でご確認ください(お手持ちの方は、読み返してみてください)。
そんな、「そうだったんだ!」というエピソードが満載です。
もちろん、ニューウェイが関わったマシンの設計に関するエピソードがメインですが。
いまチェックしたら、Amazonでは在庫切れのようですね……(2020年5月25日現在)
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メルセデスAMGがF1エンジンの仕組みをシンプルに(?)解説 [F1]
F1のエンジンが燃焼する際は、「小さなピストン冠面に象が4頭乗ったのと同じだけの力が加わる」といった解説が、グラフィックをまじえて行われます。
さらに、
・なぜ、規則で定められている上限の15000rpmを使い切らないのか。
・予選と決勝レースでのパワーユニットのマネジメントの違い。
・STRATモードとHPPモードの違いは?
・パーティーモードって実在するの?
・ノッキングが発生するとドライバーはその音が聞こえる?
といった解説が、Q&A形式で行われています。
Catch Hywel's full 20-minute Power Unit Performance explainer right here [↓]
— Mercedes-AMG F1 (@MercedesAMGF1) May 22, 2020
Which topic should we cover next on #F1 Simple Science? Let us know in the comments https://t.co/lk8ZmQh0W5
動画はこちら↓
答えをひとつだけお知らせしておくと、パーティーモードは実在し、予選モードのことです(STRATダイヤルで切り換えます)。
予選モードとレースモードの違いなど、パワーユニットのマネジメントに関しては、『F1 テクノロジー考 (- F1 機械工学大全 - 第2弾)』でも説明しています。ご参考まで。
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4ローター・ロータリーエンジンのMAZDA RX-VISION GT3 CONCEPT [モータースポーツ]
5月22日には、ポリフォニー・デジタルとマツダが共同開発したバーチャルレースカー「MAZDA RX-VISION GT3 CONCEPT」が発表されました。
MAZDA RX-VISION GT3 CONCEPTは『グランツーリスモSPORT』に登場するバーチャルレースカーで、「MAZDA RX-VISION」をベースに、FIA GT3の車両基準に準拠して改造することを想定しています。
MAZDA RX-VISIONは、2015年10月の東京モーターショーで発表されたコンセプトカーです。
マツダはRX-VISIONについて、「マツダが考える最も美しいフロントエンジン後輪駆動(FR)スポーツカーの造形に挑戦するとともに、次世代ロータリーエンジンの『SKYACTIV-R」を搭載した、マツダがいつか実現したいスポーツカーの姿を表現したモデル」と説明しています。
RX-VISION GT3 CONCEPTの主な特徴は次のとおりです。
・オリジナル車両の美しいロングノーズショートデッキフォルムを生かして、さらにワイドトレッド化。
・フロントミッドシップ+トランスアクスル後輪駆動により、前後48:52という理想的な重量配分を実現。
・優れた空力特性により、ハンドリング性能やタイヤマネジメントに効果を発揮。
・エンジンは、最高出力570PSを発生する「SKYACTIV-R」4ローター・ロータリーエンジンを搭載。
・サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンク式を採用。
・グランツーリスモSPORT内では、FIA GT3または同等の諸元・性能を有するコンセプトモデルが区分されるGr.3に認定。
RX-VISION GT3 CONCEPTの主要諸元は以下のとおりです。
全長×全幅×全高 4590×2075×1120mm
ホイールベース 2700mm
前後トレッド 1720mm/1760mm
車両重量 1250kg
前後重量配分 48:52
エンジンタイプ SKYACTIV-R 自然吸気4ローター・ロータリーエンジン
排気量 2600cc
最高出力 570PS/9000rpm
最大トルク 540Nm/7500rpm
駆動方式 フロントエンジン後輪駆動
前後タイヤ ミシュラン(310/700-18)
RX-VISION GT3 CONCEPTは、マツダのデザイナー陣とポリフォニー・デジタルのデジタルモデラー陣の共創によって生み出されました。チーフデザイナーを務めたマツダの岩尾典史氏は次のように述べています。
「MAZDA RX-VISIONをベースに世界一美しく速いGT3レースカーを目指してデザインしました。とくに外観は、無駄を排除し、機能的な美しさを追求しています。魂を込めてデザイン開発するのは、量産車やコンセプトカーだけでなく、このバーチャルレースカーも同じです」
RX-VISION GT3 CONCEPTは、量産車の開発と同様、デザインスケッチワークからスタートし、3Dデジタルモデリングを経て、最終デザインを仕上げています。
コクピットはレース中の操作感を重視し、各機能を配置。ステアリングホイールは、操作性を高めた専用デザインを採用しています。
「ロードカーでもバーチャルカーでも『人間中心』のフィロソフィーは共通」で、ゆえに、シート形状をはじめ、ドライビングポジションやペダル配置と運転中の視界確保は、最重点項目としてすべての機能に優先すると説明しています。
スパ・フランコルシャンのオールージュを(バーチャルに)駆け上がるRX-VISION GT3 CONCEPT。
1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースで、同じ場所を(リアルに)走るファミリア・プレスト・ロータリークーペ。
後ろ姿もいいですね。妄想ふくらみます。
ロータリーならではの高回転サウンドも魅力です。
SKYACTIV-Rを積んだリアルなスポーツカー(と、欲を言えばレーシングカー)もぜひ。
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フェラーリのF1 1000GPを祝う「100X1000」がスタート [F1]
プロジェクト名は「100X1000」です。
フェラーリにとって最も重要な100のストーリーを選び出し、テキストや写真、映像を紹介していく内容。
100のストーリーは下記のスクーデリア・フェラーリ公式サイトで公開されます。
Formula1.ferrari.com
2020年シーズンは7月第1週のオーストリアGPで開幕する予定ですが、フェラーリが1000GPを迎えるのは9戦目。
さて、開催地はどこになるでしょうか。
いずれにしても、100X1000の展開、楽しみです。
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TGR-Eの360度バーチャルツアー [クルマ]
ポルシェミュージアムはガイドが案内する動画を見て疑似体験する方式ですが、TGR-E(旧TMG)が公開したバーチャルツアーは、画面上の矢印をタップして進むタイプの疑似体験です。
We have good news for all those who always dreamed of visiting the @TGReurope Motorsport Museum.
— TOYOTA GAZOO Racing WEC (@Toyota_Hybrid) May 18, 2020
You can now visit it for a 360° virtual tour ?
[→]? https://t.co/7cGYmegUrQ
Come in, have a walk around - and tell us: Which car is your favourite? #TOYOTA #TOYOTAGAZOORacing pic.twitter.com/aT1BJ3rqj7
ドイツ・ケルンにあるファクトリーのエントランスを抜け、風洞の下にある展示スペースに向かいます。
耐久レースを走ったプロトタイプに加え、
F1や、
ラリーカーを見ることができます。
やはり、大きな画面で見たほうが、没入感は高まります。
TGR-Eは、TOYOTA GAZOO Racing Europeの略です。2020年4月20日にTMG(Toyota Motorsport GmbH)から名称を変更しています。
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ポルシェミュージアム日本語デジタルガイドツアー [クルマ]
(このページの写真はすべて2015年に撮影)
大きな画面で見るほど没入感高まります。
Porsche News TV
https://newstv.porsche.com/en/
Yoshiko-Murielle Bergierさんによるガイド、為になると同時に語りがとても心地良く、癒やし効果があるような気が……。
ガイドでは「豚ちゃん」も登場します。
Porsche News TV
https://newstv.porsche.com/en/
上記サイトでは、5月17日に発表されたポルシェ911タルガの動画も公開されています。
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ザウバー50周年(1970-2020) [F1]
今後、ザウバーの公式WebサイトやYouTubeの公式チャンネルなどで、スペシャルコンテンツを展開していく予定だそう。
Sauber Group
https://www.sauber-group.com
さっそく動画が上がっています。ザウバーに所属した歴代F1ドライバーがお祝いのメッセージを送っています(フレンツェン、久々に見ました)。
ザウバーがF1に活動の場を移したのは1993年でした。
耐久レース時代のエピソードもいずれ公開されるでしょうか(写真は1989年のザウバーC9)。
2009年12月末に、スイス・ヒンウィルのザウバーを訪れたときのことを思い出します。
何度かインタビューしましたが、ペーター・ザウバー氏、とても温厚な人物という印象です。
このときは、レギュラーシートを獲得した小林可夢偉選手がシート合わせをするというので、取材に訪れたのでした(懐かしい……)。
記事が掲載されたのは『F1 (エフワン) 速報 2010年 2/5号 [雑誌]』です。さすがにAmazonには新品の在庫はないようです。
電子書籍でご確認ください。ザウバーの歴史(2009年までの、ですが)もわかります。
ASB電子雑誌書店
https://www.as-books.jp
当時のエントリーです↓
ザウバー余録
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2010-01-14
1997年のプレスキット(創立27年目)に関するエントリー↓
ザウバーのプレスキット(1997年)
https://serakota.blog.ss-blog.jp/2010-01-08
https://www.facebook.com/serakota/
ポルシェミュージアムが無料デジタルライブツアーを実施 [クルマ]
ツアー開始時間はこちら↓
ドイツ語
日本時間5月18日午前1時30分(現地5月17日午後6時30分)
英語
日本時間5月18日午前7時(現地5月10日午前0時)
そんな時間に待機できないという方も心配無用です。デジタルライブツアー当日以降にPorsche News TVで視聴することができます。
Porsche News TV
https://newstv.porsche.com/en/
しかも「日本語」のガイドあり。
どんなガイドツアーが体験できるのか、楽しみです。
https://www.facebook.com/serakota/