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【WEC 2018】開幕戦スパ・フランコルシャン6時間のセクタータイム比較 [モータースポーツ]

2018年WECシーズン唯一のワークスLMP1カー、トヨタTS050ハイブリッド(LMP1ハイブリッド)のセクタータイムを、LMP1プライベーター勢(LMP1ノンハイブリッド)と比べてみましょう。

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トヨタが2018年のスパ6時間に持ち込んだ空力パッケージは、次戦ル・マン24時間を見据えたロードラッグ仕様でした。2017年は持ち込んだ3台のうち、7号車と8号車がハイダウンフォース仕様、9号車はロードラッグ仕様でした。セクタータイムから性格の違いが読み取れ、ロードラッグ仕様はコーナーの多いセクター2を苦手とすることがわかります。

アイデアルラップはセクターベストを足したタイムです。

2018年WEC第1戦スパ・フランコルシャン6時間 セクタータイム比較
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(クリックで拡大)

コース図
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セクター2ではLMP1プライベーター勢に突っつかれるシーンが何度となく見られましたが、タイムを見るとうなずけます(バイコレスは別にして。エンジンの馬力は出ているはずなので問題は……)。

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SMPレーシングが走らせているBRエンジニアリングのBR1(ダラーラが設計・開発・製造)は、最高速が抜きん出ています(11号車も速く、324.4km/h)。

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じゃ直線番長かというとそんなこともなく、セクター2はトヨタ7号車と互角です。仕上がってきたらおもしろいことになりそうですね。

ただ、心配事はレースの終盤、オールージュの坂を上がりきったラディヨンでバックフリップを演じ、コース外側のタイヤバリアに突っ込んだこと。大事に至らなかったのは幸いでした。ル・マン24時間までに原因が究明されるといいのですが。

観戦者による投稿動画↓


入るはずだったメインスポンサーからの資金が入らなかったため、参戦を見合わせたCEFC TRSMレーシング(ジネッタG60-LT-P1/メカクローム)の動向も心配です。

プライベーターが走らせているLMP1ノンハイブリッドは、LMP1ハイブリッド(すなわちトヨタ)に比べて37.5%多い燃料流量で走らせることができ(熱効率が同じなら、37.5%大きな出力を発生させられるポテンシャルがある)、1周あたり49.2%多い燃料を消費することができます。しかも、車重は45kg軽い。

逆に言うと、トヨタTS050ハイブリッドは、LMP1ノンハイブリッドより37.5%少ない燃料流量と49.2%少ない燃料使用量で走らされ、45kgも重い。にもかかわらず、速い。これがパワートレーンだけでなく、シャシーや空力も含めた技術力の差です(燃料流量計のシリアルナンバー申告をミスって予選タイムが抹消されるというポカはありましたけれども)。

LMP1ハイブリッドとLMP1ノンハイブリッドの性能均衡調整
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1スティントあたりの燃料の差から、順当に走るとLMP1ハイブリッドの方が多くの周回を走れる数値が設定されています(1スティントあたりの最大燃料は少ないけれども、消費量も少ないので)。このあたり、ル・マンではどう展開するのかにも注目したいところです。

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