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ルノー製パワーユニットの進化 [F1]

F1マシンが搭載する動力源が2.4L・V8自然吸気エンジンから1.6L・V6直噴ターボ+2種類のエネルギー回生システムに切り替わってから、2017年で4シーズン目を迎えます。

ルノーのプレスキットに記された数字を見ると、パワーユニットからエネルギー回生システムを除いたぶん、すなわちエンジン単体の進化ぶりをうかがうことができます。下の表はプレスキットから抜き出してまとめた、過給圧と総出力の変遷です。

ルノーのパワーユニットにおける過給圧と総出力の変遷
RSF1_TABLE.jpg

総出力はエンジンの出力にMGU-Kの出力を足したものです。MGU-Kの出力は最大120kW(約160hp)とレギュレーションで規定されていますので、実質的にはエンジンの出力が年々向上していることを意味しています。

最大燃料流量もやはり最大100kg/hとレギュレーションで規定されていますので、過給圧を高めてシリンダーに送り込む空気量を増やしたところで、増えた空気量に合わせて燃料噴射量を増やすことはできません。つまり、空燃比はどんどんリーンになっていると考えていいでしょう。リーンになって熱効率が上がって、出力がどんどん向上しているのですね。

2017年はエンジン単体で740hp以上を発生させていることになります。4シーズンで140hpの出力向上(プレスキット上では。実際はどうか知りませんが)。手元の計算では、熱効率は35.6%から43.9%に向上しています。数字の正確性はさておき、熱効率が向上しているのは間違いありません。

Renault_RE17.jpg

上の写真は2017年版のプレスキットに掲載されているR.E.17の写真ですが、2014年版の流用です。R.E.17とそれ以前のエンジンは、実物を見るとひと目で違いがわかるそうですが、どうでしょう。とっても気になります。

ただし、 2017年版のターボチャージャーはメルセデスやホンダのように、タービンとコンプレッサーを離して間にMGU-Hを挟んだ「スプリット」構造にはしていないと、ルノーはプレスキット内で明言しています。

さらに、急速燃焼を実現する「プレチャンバー」を利用した点火は2016年のR.E.16から適用しており、2017年版も継続して採用していることを認めています。

Renault_Exhaust.jpg

これもプレスリリースに掲載されている写真で、エキゾーストマニフォールドです。エンジン単体と同様に最新スペックではないと判断した方が良さそうです。拡管(矢印)が確認でき、反射波を利用した排気の引っ張り出し効果を利用して開発していることがうかがえます。

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