【ル・マン24h】誰も幸せにならない結末 [モータースポーツ]
メディアセンター内に陣取っていた席がトヨタのガレージの真上だった地の利を生かし、トップでゴールしたトヨタ5号車がピット前を通過するシーンを撮影しようと、レース終了の15分ほど前から窓際に陣取っていました。5号車はそれまでと変わらぬペースでホームストレートを駆け抜けていきます。
僅差で追いかけるポルシェ2号車がピットレーンに入ってきました。いよいよこれで5号車の優勝は安泰、と思いますよね。
モニターを見ると、ユノディエールを走る5号車のスピードが落ちているのが確認できました。このときは、「落ちている」のではなく意図的に「落としている」のだと思いました。理由の1つは、6号車を待って2台そろってゴールするのだろうと予想したこと(6号車がペースを落として5号車を待った方が合理的、だとは思いましたが)。もう1つは、速いペースで走るとフィニッシュ時間までに3周しなければならないから、あと2周で済むようにペースをコントロールしているだろうと、予想したことでした。
実際にはそんな脳天気な状況ではなくて、ターボの過給圧制御にトラブルが発生し、過給できない状況に陥っていたのでした。それが、中嶋一貴選手が訴えた「ノーパワー」の原因です。
ストレートに5号車がやってきました。そりゃいくらなんでもペース落としすぎだろと思ったら、ピット前で停止(矢印)。ピットパーチの陰に隠れて見えないではないか、という状況はどうでもよくて、事態がまったく飲み込めませんでした。
理解を苦しめたのは、ピットパーチにいるトヨタのクルー6名が、まるでマネキン人形のように微動だにしなかったことです。「なんで、誰も動かないの?」「気づいてないの?」「無視しているの?」と、疑問は湧くばかりで一向に解消しません。
しばらくすると5号車は動き出しました。
が、その頃にはとっくにポルシェ2号車に先行されており、ほどなくして2号車がチェッカードフラッグを受けながら、ストレートを通過していきました。
5号車が重大なトラブルを抱えていたことは理解できましたが、目の前で起きている事態を消化することはできないまま、時間が過ぎていきます。5号車はどうなったの? どこかで止まっている? いや、走っているらしいと混乱しているうちに、再び、ホームストレートに戻ってきてピット前に停止しました。
中嶋一貴選手がクルマを降りると、スタンドから拍手がわき起こりました。観客、総立ちです。慰めではなく、健闘の拍手だったと信じています。ポルシェもアウディも、表彰台に上がったことを手放しで喜んでいるふうではありませんでした。
一貴選手は、迎えに出たチームディレクターのロブ・ロイペンに支えられようにして、ピットレーンに戻ってきます。
2年連続18回目の優勝を手にしたポルシェ2号車とドライバーが、セレモニーの段取りにのっとって、ピットレーンを逆走し、ポディウムに向かいます。
レースは最後までわからない、とはよく言うものの、現実に起きてみると、呆然とするのみです。
残酷なレースがあったものですが、だから挑戦する者が後を絶たないのでしょう。負けたら悔しいわけですし。
http://www.facebook.com/serakota
僅差で追いかけるポルシェ2号車がピットレーンに入ってきました。いよいよこれで5号車の優勝は安泰、と思いますよね。
モニターを見ると、ユノディエールを走る5号車のスピードが落ちているのが確認できました。このときは、「落ちている」のではなく意図的に「落としている」のだと思いました。理由の1つは、6号車を待って2台そろってゴールするのだろうと予想したこと(6号車がペースを落として5号車を待った方が合理的、だとは思いましたが)。もう1つは、速いペースで走るとフィニッシュ時間までに3周しなければならないから、あと2周で済むようにペースをコントロールしているだろうと、予想したことでした。
実際にはそんな脳天気な状況ではなくて、ターボの過給圧制御にトラブルが発生し、過給できない状況に陥っていたのでした。それが、中嶋一貴選手が訴えた「ノーパワー」の原因です。
ストレートに5号車がやってきました。そりゃいくらなんでもペース落としすぎだろと思ったら、ピット前で停止(矢印)。ピットパーチの陰に隠れて見えないではないか、という状況はどうでもよくて、事態がまったく飲み込めませんでした。
理解を苦しめたのは、ピットパーチにいるトヨタのクルー6名が、まるでマネキン人形のように微動だにしなかったことです。「なんで、誰も動かないの?」「気づいてないの?」「無視しているの?」と、疑問は湧くばかりで一向に解消しません。
しばらくすると5号車は動き出しました。
が、その頃にはとっくにポルシェ2号車に先行されており、ほどなくして2号車がチェッカードフラッグを受けながら、ストレートを通過していきました。
5号車が重大なトラブルを抱えていたことは理解できましたが、目の前で起きている事態を消化することはできないまま、時間が過ぎていきます。5号車はどうなったの? どこかで止まっている? いや、走っているらしいと混乱しているうちに、再び、ホームストレートに戻ってきてピット前に停止しました。
中嶋一貴選手がクルマを降りると、スタンドから拍手がわき起こりました。観客、総立ちです。慰めではなく、健闘の拍手だったと信じています。ポルシェもアウディも、表彰台に上がったことを手放しで喜んでいるふうではありませんでした。
一貴選手は、迎えに出たチームディレクターのロブ・ロイペンに支えられようにして、ピットレーンに戻ってきます。
2年連続18回目の優勝を手にしたポルシェ2号車とドライバーが、セレモニーの段取りにのっとって、ピットレーンを逆走し、ポディウムに向かいます。
レースは最後までわからない、とはよく言うものの、現実に起きてみると、呆然とするのみです。
残酷なレースがあったものですが、だから挑戦する者が後を絶たないのでしょう。負けたら悔しいわけですし。
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