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【WEC】トヨタTS050ハイブリッド新旧比較 [モータースポーツ]

昨年も同じことをやっていたので、今年もなぞってみましょう。例年どおり、ポールリカール・サーキットで開催されるWEC合同テストの前日に、新型マシンのトヨタTS050ハイブリッドが発表されました。

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一見して、これまでの流れを受け継いだ空力コンセプトであることがうかがえます。「ブラッシュアップ」ですね。規則の変更によって使える燃料は約10%減るけれども、制動時の回生エネルギー量を確保するためにも、最高速は維持したい──。

黙っていれば出力は10%落ちるので、ドラッグ(空気抵抗)を減らして最高速を維持するコンセプトです。ダウンフォースを失ってはコーナリング性能が落ちるので、ダウンフォース量を維持したままドラッグを減らす難題に取り組んだそう。

Toyota TS050 Hybrid_2016
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Toyota TS040 Hybrid_2015
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フロントカウルが高くなって、アンダーパネルとの隙間が大きくなっています。TS040ではブレーキダクトがカウルに設けられていましたが、TS050ではカウルの影に隠れたボディワークに設けられています。

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Toyota TS050 Hybrid_2016
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Toyota TS040 Hybrid_2015
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パワートレーン系の変更点は以下のとおり。

エンジン:3.7L・V8自然吸気→2.4L・V6直噴ツインターボ
エネルギー貯蔵装置:キャパシタ→リチウムイオン電池
ル・マン1周あたりのエネルギー放出量:6MJ→8MJ

Toyota TS050 Hybrid_2016
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Toyota TS040 Hybrid_2015
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フロントだけでなくリヤでも回生/力行を行うハイパワー4輪回生なのは変わりありませんが、回生量を増やすためにMGUの出力は引き上げられています。また、モノコック下を通る空気の流れの自由度を高めるため、フロントMGUの搭載位置は上に移動させています(ゆえに、MGUは新設計)。

いくらエンジンが小さくなったとはいえ(V8もコンパクトでしたが、新しいV6は相当小さいらしい)、ターボチャージャーが2基加わって、インタークーラーも2基あって……ということを考えると、カウルの下、どうなっているんだろうと、気になりますね。

Toyota TS050 Hybrid_2016
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(クリックで拡大)

Toyota TS040 Hybrid_2015
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レイズ製マグネシウム鍛造ホイールは2015年仕様から受け継いでいます。2015年型とは仕様が一部異なるよう。

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ブレーキキャリパーは2013年以来のパートナーである曙ブレーキ工業製。運動エネルギーの回生量が増えているので、油圧ブレーキの負担分が小さくなり、カーボンディスクを適正作動温度領域に保つのに苦労しているそう。冷やすことよりもむしろ、暖めることの方が課題。

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TS030(2012〜13年)〜TS040(2014〜15年)〜TS050(2016年〜)のハイブリッドパワートレーンの変遷をまとめた動画↓

From TS030 to TS050 HYBRID - Evolution of TOYOTA's WEC Challenger


下の動画で、TS050ハイブリッドの開発を通じて培った技術は、「未来のクルマにつながる」と表現していますが、話をうかがっていると、確かにそんな気がします。そんなに先じゃない市販車も楽しみですし……

TOYOTA GAZOO Racing – FIA WEC 2016 TS050 HYBRID: PROFESSIONAL PRIDE


WEC(FIA世界耐久選手権)の2016年シーズンも楽しみです。

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