NISSAN GT-R LM NISMOが積んでいる(?)フライホイールKERSについて [モータースポーツ]
NISSAN GT-R LM NISMOがどんな運動エネルギー回生システム(KERS/ERS-K)を積んでいるのか、公式的な発表はないようですが、海外のメディアではトロトラック製のフライホイールKERSを積んでいると伝えています。情報が公開された際に面食らわないよう(?)、整理しておきましょう。
2014年1月に100%トロトラックの傘下に入ったフライブリッドは、従前からフライホイールを用いたエネルギー貯蔵装置を開発していました。2009年にKERSを導入したF1チームへの供給を目指しましたが、採用チームは現れませんでした。
写真右側に見える円筒形ケースの内部にフライホイールが収まっています。従来は減速時にブレーキユニットで捨てていたエネルギーをドライブトレーンを通じて回収し、フライホイールを高速回転させて蓄えます。フライホイールの左側にあるのはフルトロイダル式のCVT。ドライブシャフトから伝わってきた回転を増速したり、フライホイールからドライブシャフトに向けて力を伝えるときに減速したりするのに用います。
中身はこんな感じ。
入力側と出力側のディスクの間(キャビティ)に力を伝達するパワーローラーが挟まっており、そのローラーの姿勢を任意に変えることで、ディスクの回転半径が変わり、好みの変速比を得る仕組み。
変速の仕組みを解説した動画はこちら↓
フライブリッド製のフライホイール式KERSは、2011年にホープレーシングが走らせたオレカ01に搭載され、ル・マン24時間に出走しました(KERSのトラブルでリタイヤ)。そのとき搭載していたシステムがこちら。
ボルボは2011年からフライブリッドと組んでフライホイール式KERSの実証実験を行っています。S60 T5(260psを発生する5気筒エンジンをフロントに横置き搭載)のリヤに80psのシステムを搭載した実証実験が最新事例(2014年)。
フライホイールKERSを用いたエネルギー回生/力行の原理を解説した動画はこちら↓
システム構成はこちら。
(クリックで拡大)
エネルギーを貯蔵するフライホイールの断面はこんなふう。フライホイールの重量は6kg。最高回転数は60000rpm。
(クリックで拡大)
システムの全体像はこちら。空気と摩擦してエネルギーを損失しないよう、ケース内部は真空に保ちます。そのためのバキュームポンプを装備。
(クリックで拡大)
市街地走行での燃費が最大25%向上できるポテンシャルがあるとボルボは説明しています。80psのエクストラパワーは、0-100km/h加速の所要時間を1.5秒短縮する効果があるとも説明(ベース車両比)。
NISSAN GT-R LM NISMOと同じくWECに参戦するアウディR18 e-tronクワトロは、2012年からGKNハイブリッドパワー(旧WHP)製の電動フライホイールを搭載しています。フライホイールを回転させることでエネルギーを蓄えるのは、トロトラック/フライブリッド製フライホイールと同じ。トロトラック製は運動エネルギーをダイレクトにフライホイールに伝え、蓄えます。
一方、電動フライホイールは、モーター/ジェネレーターユニット(MGU)で運動エネルギーをいったん電気に変換。高圧ケーブルでフライホイールに電気を送り、その電気でローター一体のフライホイールを回転させ、運動エネルギーに置き換えます(エネルギーを放出する際は、逆の経路をたどります)。
フライホイールはエネルギーを素早く出し入れするのが得意(パワー密度が高い)ですが、引き換えに、たくさんエネルギーを蓄えるのが苦手(エネルギー密度が低い)。アウディR18 e-tronクワトロが積んだ上の写真のシステムで、貯蔵容量は最大600kJでした。
NISSAN GT-R LM NISMOが搭載するのは、トロトラック/フライブリッドの専用開発品でしょう。どのようなシステムになっているのか、楽しみですね。
http://www.facebook.com/serakota
2014年1月に100%トロトラックの傘下に入ったフライブリッドは、従前からフライホイールを用いたエネルギー貯蔵装置を開発していました。2009年にKERSを導入したF1チームへの供給を目指しましたが、採用チームは現れませんでした。
写真右側に見える円筒形ケースの内部にフライホイールが収まっています。従来は減速時にブレーキユニットで捨てていたエネルギーをドライブトレーンを通じて回収し、フライホイールを高速回転させて蓄えます。フライホイールの左側にあるのはフルトロイダル式のCVT。ドライブシャフトから伝わってきた回転を増速したり、フライホイールからドライブシャフトに向けて力を伝えるときに減速したりするのに用います。
中身はこんな感じ。
入力側と出力側のディスクの間(キャビティ)に力を伝達するパワーローラーが挟まっており、そのローラーの姿勢を任意に変えることで、ディスクの回転半径が変わり、好みの変速比を得る仕組み。
変速の仕組みを解説した動画はこちら↓
フライブリッド製のフライホイール式KERSは、2011年にホープレーシングが走らせたオレカ01に搭載され、ル・マン24時間に出走しました(KERSのトラブルでリタイヤ)。そのとき搭載していたシステムがこちら。
ボルボは2011年からフライブリッドと組んでフライホイール式KERSの実証実験を行っています。S60 T5(260psを発生する5気筒エンジンをフロントに横置き搭載)のリヤに80psのシステムを搭載した実証実験が最新事例(2014年)。
フライホイールKERSを用いたエネルギー回生/力行の原理を解説した動画はこちら↓
システム構成はこちら。
(クリックで拡大)
エネルギーを貯蔵するフライホイールの断面はこんなふう。フライホイールの重量は6kg。最高回転数は60000rpm。
(クリックで拡大)
システムの全体像はこちら。空気と摩擦してエネルギーを損失しないよう、ケース内部は真空に保ちます。そのためのバキュームポンプを装備。
(クリックで拡大)
市街地走行での燃費が最大25%向上できるポテンシャルがあるとボルボは説明しています。80psのエクストラパワーは、0-100km/h加速の所要時間を1.5秒短縮する効果があるとも説明(ベース車両比)。
NISSAN GT-R LM NISMOと同じくWECに参戦するアウディR18 e-tronクワトロは、2012年からGKNハイブリッドパワー(旧WHP)製の電動フライホイールを搭載しています。フライホイールを回転させることでエネルギーを蓄えるのは、トロトラック/フライブリッド製フライホイールと同じ。トロトラック製は運動エネルギーをダイレクトにフライホイールに伝え、蓄えます。
一方、電動フライホイールは、モーター/ジェネレーターユニット(MGU)で運動エネルギーをいったん電気に変換。高圧ケーブルでフライホイールに電気を送り、その電気でローター一体のフライホイールを回転させ、運動エネルギーに置き換えます(エネルギーを放出する際は、逆の経路をたどります)。
フライホイールはエネルギーを素早く出し入れするのが得意(パワー密度が高い)ですが、引き換えに、たくさんエネルギーを蓄えるのが苦手(エネルギー密度が低い)。アウディR18 e-tronクワトロが積んだ上の写真のシステムで、貯蔵容量は最大600kJでした。
NISSAN GT-R LM NISMOが搭載するのは、トロトラック/フライブリッドの専用開発品でしょう。どのようなシステムになっているのか、楽しみですね。
http://www.facebook.com/serakota