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フロントウィングのフラップはたわみます(たわませたいし) [F1]

2014年第19戦アブダビGPで、レッドブルの2台は予選で5番手、6番手を記録したものの結果から除外されました(最後尾からスタート)。理由は、空力的な影響について定めたテクニカルレギュレーションの3.15に違反したから。

3.15は「車体部品は強固に固定されていなければならない」「動いてはならない」などと定めていますが、予選結果から除外された真の理由は3.17で定める「ボディワークの柔軟性」に関して問題があったからでしょう。FIAはレッドブルのフロントウィングが規則に合致しているかどうか調査する旨を知らせるリリースで、「(レッドブルの)フロントウイングのフラップは、空力的な荷重を受けるとたわむように設計されている」と指摘しています。

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どんな部品もたわまない/変形しないようにはつくれないので、3.17ではボディワークの柔軟性について許容範囲を定めています。フロントウィングの場合、試験に適したアダプターを装着したうえで、1000N(約100kg)の垂直荷重をウィング外側寄り(車体中心線から720mm)の広い範囲に掛けます。その際、10mmまでならたわんでもオーケー。それ以上たわんだらNGです。2012年までは20mmまで許容されていました。

ちなみに、フロントウィングは250km/h時に軽く3000N以上のダウンフォースを発生します。柔軟性試験と走行時で条件が同じだと仮定すれば(変形量がリニアだとも仮定して)、250km/h走行時に30mm程度たわむことは十分ありえるわけです。フリー走行だったか予選だったか、ウィリアムズFW36のフロントウイングがたわむ様子が映りましたが、あの程度はたわむということです。

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なぜフラップをたわませるかというと、ドラッグ(空気抵抗)を減らして最高速を伸ばしたいからですね。コーナーではグリップを高めるためにもダウンフォースが欲しいところですが、ストレート走行時(アブダビの場合、ターン7〜8とターン9〜11)はダウンフォースと一体不可分の関係にあるドラッグが邪魔になるからです。だから、規則違反に成らない範囲でたわませたい。それも、ドラッグが邪魔になる超高速域だけたわませたい(となると、非線形な特性にしたい)。

たわませれば単純にウイングの角度が寝て、ドラッグが減ります。また、フラップが変形した結果、スロットギャップ(フラップとフラップの隙間)がふさがることでウイング全体をストールさせ、ドラッグを劇的に減らすことをやっているかもしれません。

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いずれにしても、何かやっているのは間違いありません。レッドブルにしてみれば、「他もやっているのになんでウチだけ……」という気分でしょう。

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