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ポルシェ919ハイブリッドのフロントフェンダー比較など [モータースポーツ]

唐突ですが、気になったので比較してみました。ポルシェ919ハイブリッドのフロントセクションは、2014年のWEC(FIA世界耐久選手権)シーズン序盤と第3戦ル・マンで異なることには気づいていましたが、ル・マン仕様と第4戦COTA仕様でも異なるようです。

ル・マンまではロードラッグに割り切っていたポルシェは、WEC後半戦に向けてダウンフォース重視の開発をすると表明していたので、その影響であることは間違いありません。

開幕前ポールリカールテスト仕様
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WEC第3戦ル・マン仕様
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WEC第4戦COTA仕様
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フロントフェンダーの前方への張り出しが控え目になっています。サイドのルーバーはル・マン前の状態に戻っていますね。あわせて、ノーズ前端の処理も小変更を受けています。なんだかんだで結局のところ、ころころ表情が変わっています。

WEC第3戦ル・マン仕様
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WEC第4戦COTA仕様
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フロントブレーキはシュラウドに覆われているので発色のほどは確認できませんが、リヤブレーキディスクは真っ赤に発色しています。トヨタTS040ハイブリッドはフロントに加えてリヤMGUでも回生を行うので、油圧ブレーキの負担分は相対的に小さく、高温になって赤く発色することはないはずです(が、リヤブレーキの負担分に合わせて容量を小さくしているのでどうかしら)。

ポルシェ919ハイブリッドはMGUをフロントにしか積んでいないので、リヤは油圧ブレーキだけが減速を負担。真っ赤に発色しているのを見ると、何だか格好いいなあとかつては思ったものですが、いま見ると「エネルギー捨てちゃってもったいない」と思ったり……。

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日産は2015年からLMP1/LMP2/LMP3に参戦 [モータースポーツ]

完全に自分のブログをメモがわりにする目的(あとで気になったときの確認用)ですが、9月18日、2014年WEC(FIA世界耐久選手権)第4戦オースティンの会場で、発表が行われました。日産は2015年にヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)、アジアン・ル・マンシリーズ(ALMS)に新設されるLMP3に、エンジン供給を行うという内容です。供給するエンジンはVK50VE型、5L・V8自然吸気。

日産はすでにLMP1マシン、NISSAN GT-R LM NISMOでのWEC参戦を表明しています。シリーズをまたいでの話になりますが、日産はLMP1からLMP3まで、フルラインアップでかかわりを持つことになります。

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と同時に、GTアカデミー(プレイステーション専用ソフト『グランツーリスモ』の国際的なコンテストを通じ、バーチャルの世界で速いプレイヤーにリアルなレースで走行する機会を与えるプログラム。2008年に開始)が輩出したドライバーに対し、LMP3→LMP2→LMP1へステップアップする道筋を整えたことも発表しました。

さらに、LMP1にはアメリカ人ドライバーを(2016年に)起用する見込みであり、アメリカGTアカデミーの勝者らをその候補に挙げています。LMP1のベースはヨーロッパに加え、アメリカ・インディアナポリスにも置くことが発表されました。CART〜チャンプカーに参戦(〜2008年)したフォーサイス・レーシングの施設に手を入れて使用するそう。

日本のニスモが運営に携わることも発表されました。インディアナポリスの拠点をベースにアメリカ南部のサーキットでテストを行うそうですが、追加情報はWEC第5戦富士6時間(10月10日〜12日)やニスモフェスティバル(11月30日)で発表されるでしょうか。

LMP3やLMP1についての発表があった前日、9月17日はニスモが30周年を迎えた日でした。

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(クリックで拡大)

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ワサビグリーンピーヌとミソクヌビンス [旅(海外)]

アジア各国を訪れた際のひそかな楽しみは、奇妙に感じる日本語表記を見つけることです。フォーミュラE取材のために北京を訪れた際もひそかな楽しみにしていたのですが、いつものようにホテルとコースの往復が基本だったので、チャンスはあまり多くありませんでした。

しかし、ホテル近く(徒歩約15分)のスーパーマーケットでいいサンプルに出会いました。

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おつまみですね。「ワサビグリーンピーヌ」は「わさびグリンピース」のことだとすぐわかります。よく見ると、「わさびの特別な好みの青豆の香は脆いです」と書いてあります。だからどうすればいいのか、その後が知りたくなります。

「良い味はおう」はなんでしょう……。

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「ミソクヌビンス」は「ミックスビーンズ」でしょう。これくらいひねりが利いているとうれしくなります。やはりよく見ると、「人気を超えます」「特殊な特色」と読めます。相当厳しい色づかいをしていそうです。

さらに、「個別の小包は詰めて入る」と書いてあります。おっしゃるとおりです。

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で、詰めて入っている個別の小包ですが、ひとつ1つに「やまだ」とプリントしてあります。なぜ? しかも、アルファベット表記は「YAMATA」……。

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ファンキーだな〜。

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ミシュランのLMP1用タイヤ識別法 [モータースポーツ]

ものすごい雨でしたね(まだ降っていますが)。このあと、インターミディエイトやウェットタイヤの出番がありそうなので、整理しておきましょう。

まぎらわしいのは、乾いた路面に適したドライタイヤと、湿った路面に適したインターミディエイトタイヤの識別です。なぜなら、ミシュランのLMP1用インターミディエイトタイヤには溝がなく(パターンレス)、見た目はドライタイヤと変わらないからです。ミシュランは「ハイブリッド」タイヤと呼んでいます。

サイドウォールにある「MICHELIN Total Performance 」のロゴで識別は可能。白地がインターミディエイトタイヤです。

ドライ(スリック)
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インターミディエイト(ハイブリッド)
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ウェット
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WEC燃料テーブル改訂:第4戦オースティン以降は出力面でディーゼル有利? [モータースポーツ]

ル・マン24時間での実測データをもとに、LMP1に適用される燃料テーブルが改訂されました(7月29日のことですが)。燃料テーブル(通称)とは、ハイブリッドシステムのエネルギー放出量(2MJ/4MJ/6MJ/8MJから選択可)に応じた燃料使用量や燃料流量などを規定したもの。ガソリンとディーゼルの性能をバランスさせるのが目的です。

改訂版の数値を見ると、ガソリンを基準にディーゼルの数値を変更することによって補正しているのがわかります。ディーゼルは1周あたりに使用できる燃料の量が0.3%減らされた一方、最大燃料流量は1%増えています。

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つまり、ディーゼルは燃費面でちょっと厳しくなるものの、出力面では少し余裕が与えられた格好。ざっと5〜6馬力のゲインになるでしょうか。この変更が予選〜決勝のトヨタ/ポルシェ(ガソリン)とアウディ(ディーゼル)の駆け引きにどんな影響を与えるのか……も含めて観察するとおもしろそうですね。

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表の数字はル・マン(全長13.629kmのサルトサーキット)に適用される数字です。その他のサーキットに対しては、距離の比率に決まった係数を掛けて1周あたりのエネルギー放出量と燃料使用量が割り当てられます。

ちなみにル・マンの6MJガソリン勢(トヨタ/ポルシェ)の場合、オースティン(5.513km)では3.76MJ、富士スピードウェイ(4.563km)では3.11MJのエネルギー放出量が割り当てられます。一方、2MJのディーゼル(アウディ)はそれぞれ1.25MJ、1.04MJです。

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フォーミュラEとクアルコムのワイヤレス充電構想 [モータースポーツ]

「フォーミュラEに使う電気をつくる場所」については先日お伝えしました。

過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

つくった電気の充電方法についても「挑戦」が進行しています。通信技術や半導体を手がけるクアルコムがフォーミュラEと技術パートナーシップ契約を結んでおり、ワイヤレス充電技術(Qualcomm Halo)を導入しています。

公式紹介動画はこちら↓ ゆくゆくはコースの路面に充電設備を設置し、走りながら充電する、ダイナミック・ワイヤレス充電を行う構想を掲げています。

Formula E Qualcomm Safety Car with Wireless EV Charging


現時点では、セーフティカーとメディカルカーがワイヤレス充電できる態勢を整えています。車両はオフィシャル・ビークル・パートナーであるBMWが提供。セーフティカーはプラグインハイブリッドのBMW i8。メディカルカーはi3です。i3にはピュアEVとレンジエクステンダー仕様がありますが、持ち込んでいるのはピュアEV仕様でした。

BMW i8 / セーフティカー
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BMW i3 / メディカルカー
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ワイヤレス充電システムの管理はイギリスのドレイソン・システム・テクノロジーズが請け負っています。システムは開幕戦の北京に持ち込んでいたようですが、ワイヤレス充電風景を目撃することはありませんでした(ケーブルをつないだ充電風景は見ましたが)。

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ワイヤレス充電のイメージはこちら。

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現在、ワイヤレス充電を行っているのはセーフティカーとメディカルカーだけですが、2015年から2016年にかけて行われる「シーズン2」からは、レース車両にも認められます。トゥルーリ・フォーミュラEチームの母体はドレイソンなので、シーズン2はワイヤレス充電を採用してくることでしょう。

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ところで、レースディレクターが乗るクルマは、クロアチアに本拠を置くリマック(Rimac)のコンセプト・ワン(Concept_One)です。電動スーパーカー。

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4輪それぞれにモーターを備えており(トルクベクタリング制御を採用)、最高出力は1088hp、最大トルクは1600Nm。ボンネットフードの先端にはV-max 325km/h、0-100km/h 2.8secと書いてありました(写真撮影後にシールを貼った模様)。i8と並ぶと、車高の低さ(1198mm)が際立ちますね。

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バッテリー(リチウムイオン)容量は91kWh。普通充電だととっても時間がかかりそう。クアルコムの22kWのワイヤレス充電システムなら、4時間程度で充電できます。

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レーススタート前はVIP(?)を助手席に載せてコースを走っていました。

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しかし、日本企業の姿がまったく見あたりません……。

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『イケヤフォーミュラのシームレストランスミッション』 [クルマ]

「少し先になる」と7月に予告していた内容が本に収録されて発売されています。『Motor Fan illustrated Vol.96』。歯車特集、いや、もっと広く、駆動系特集です。

過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16

イケヤフォーミュラが開発したシームレスシフトトランスミッションを紹介しています。アップシフト時のトルク切れを解消した自動変速システム(マニュアル操作も可能)です。DCTとは異なり、シングルクラッチでシームレスな変速を実現しているのが特徴。シングルクラッチなのはAMTと同じですが、変速時のトルク切れはありません。

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ハブに嵌合したクラッチリングのドッグ歯が5速ギヤのドッグ歯と噛み合うと、4速ギヤに噛み合っていたクラッチリングのドッグ歯がすっと抜ける様子をデモした動画はこちら(動きがややぎこちないのは、手動で操作しているから)↓



すっと抜ける秘密はハブに刻まれたV字形の溝にあります。

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詳細はこちら(全4ページ)。

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『TOYOTA TS040 HYBRID パワーユニット開発&エンジン組み付けの現場に潜入』 [モータースポーツ]

2014年のWEC(FIA世界耐久選手権:全8戦)はル・マン24時間から3ヵ月のインターバルを挟み、後半戦に突入します。第4戦COTA(Circuit Of The Americas)6時間は9月18日に開幕、20日に決勝レースを迎えます。LMP1-H各車はどんな姿になっているのか、勢力図に変動はあるのか、楽しみですね。

トヨタの現地での準備状況を伝える動画↓



自分の気持ちもそうですが、関心のあるみなさんの気持ちもWEC後半戦に向けてもらおうと思い、トヨタ自動車にご協力いただいて取材を敢行しました(拝み倒したような感じだったかも……)。

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訪れたのは静岡県裾野市にあるトヨタ自動車・東富士研究所。トヨタTS040ハイブリッドのハイブリッドシステムの開発とエンジンの組み付けを行っている拠点です。

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訪問したときはちょうど、COTA6時間のスペアになるエンジンを組み付けているところでした。

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どんな設備があって、何を行っているのかは『Motor Fan illustrated Vol.96』(9月16日発売)でお確かめください。

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すでに2015年に向けた開発の真っ最中でした。



2014年のル・マン/WECの技術詳細についてはこちら↓



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フォーミュラEのeVillage [モータースポーツ]

ピット&パドックに隣接してeVillage(イービレッジ)がありました。「エレクトリックテクノロジーをデモンストレートするファミリーフレンドリーなエンターテインメントを詰め込んだ場所」だそう。フォーミュラEにかかわりのある企業がブースを構えていました。

ドライバーのサイン会を行うのもここ。

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例えば、フォーミュラEの共通マシン、スパーク・ルノーSRT_01Eの電動システムを統合するルノーも出展。

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量産電気自動車を展示したり……

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スロットカー場を設けていたりしていました。

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タイヤを供給するミシュランのブースもあります。

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なんだこの行列は……と思って確かめて見ると、バッジを無料配布していたのですね。

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シミュレーターも人気でした。

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もっとも人だかりがしていたのはeBikes(電動バイク)のデモンストレーション。群衆の歓声は聞こえてくるものの、その内側の音が聞こえてこないので、頭越しに様子を見るまで何が行われているのかさっぱり想像つきませんでした。音と連動しないアクロバティックな動き。新鮮です。

eKarts(電動カート)もありました。

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オフィシャルマーチャンダイズもそこそこ人気。

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ファンブースト(人気投票:上位3名のドライバーはレース中、+30kWのエクストラパワーを5秒間得られる)のブースは人っ子ひとりおりませんでした。まぁ、パネルに文字が書いてあるだけでは「ファミリーフレンドリーなエンターテインメント」性には欠けるでしょう。

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DHLのブース内です。自転車を漕いで発電量を競うのでしょうか。

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イベント開催日の午前8時から午後6時までの営業。会場周辺は営業終了後もたくさんの人でにぎわっていました。

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フォーミュラEに使う電気をつくる場所 [モータースポーツ]

すべての開催地でそうなるかどうかはわかりませんが、基本的には現地で発電した電気で40台(1チーム各4台)のマシンを充電する態勢を整えています。ピットエリアに隣接してパワー・マネージメント・エリアと呼んでいる場所があり、そこに発電設備があります。

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アクアフューエル(Aquafuel)と書いてあるコンテナに燃料が入っています。海で育つ藻を原料にアルコールの一種であるグリセリンを生成し、それを燃料にして発電機を動かすわけです。発電機で燃料を燃やした際にCO2は発生しますが、藻が生育する過程でCO2を吸収しているので、環境負荷を抑えることができる、という論法。

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発電設備から10系統で入力があり、10チーム分10系統で出力されます。

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ピットエリアはU字形のレイアウトになっており、片側に5チーム、向かい合うようにして反対側に5チームが並んでいます。パワー・マネージメント・エリアに近い方の5チームに向かうケーブルが見えます。

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もう片側に向かう5系統はこんな感じ。長旅です。

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ピット裏の装置でさらに分電されます。

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フランス電力(eDF)が関与しているようですね。電磁波が設定した範囲に収まっているかどうか計測して歩いていました。

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ピットにやってきた電気は最終的に急速充電器にやってきて、各マシンの急速充電を行います。

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充電中の様子はこんなふう。太いダクトが左右のサイドポンツーン開口部に向かっていますが、ファンで風を送り、バッテリーやモーター、インバーター用の熱交換器を冷却しているのですね。とくに、バッテリーを受け持つ右側熱交換器の冷却は重要。

400Vの高圧電流を流して急速充電を行うと、リチウムイオンバッテリーは化学反応を起こして熱を持ちます。熱が許容範囲を超えると劣化を早めるし、効率を落としてしまうので、強制的に冷却して効率良く充電できるようにしているわけです。

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サイドポンツーンには半端ない量のドライアイスが詰め込まれています。

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バッテリーの容量は28kWhと決められていますが、どんなふうに充電しても28kWh分をきっちり蓄えられるわけではありません。充電の仕方によっては26kWhしか溜められなかったり、25kWhになったりしてしまいます。バッテリーに負担を掛けず、できるだけ容量いっぱい充電できるよう、チームは工夫しているのですね。

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