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マツダSKYACTIV-D 3.3のスチールピストン [クルマ]

2022年9月に販売が開始されるマツダCX-60のe-SKYACTIV D搭載機種は、新開発の3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載しています。

48Vハイブリッドシステムとの組み合わせで、WLTCモード燃費は21.1km/L(車重1910kg)を達成しています。

1.2022_cx-60_engine_i6_3.3l_de_high_woscr_l.jpg

「なんだよ、その燃費」と驚きでいっぱいなのですが、驚きの燃費の実現に貢献している技術のひとつが、「空間制御予混合燃焼(DCPCI)」です。

前に噴いた噴霧と後に噴いた噴霧が干渉せず、それぞれが空気としっかり混ざって予混合燃焼します。

その結果、燃焼の効率が上がって燃費も排ガス性能も良くなるというわけ。

マツダは2段エッグ燃焼室など、DCPCIを成立させるためのポイントを解説した動画を公開しています。



かなり正確に再現されたエンジン内部の様子を見て気づいた方は、かなり鋭い観察眼の持ち主と言えるでしょう。

マツダのSKYAKTIV-Dの第2世代(Gen. 2)にあたるSKYACTIV-D 3.3は、スチールピストンを採用しています。

2017年に登場したSKYACTIV-D 2.2(Gen. 1.5)まではアルミピストンでした。

スチールピストンを採用したのは機械抵抗を大幅に下げるため(後日、Motor Fan illustrated誌等で詳細を解説予定)です。

これも、燃費に大きく貢献しています。

下の写真はSKYACTIV-D Gen. 1.5=2.2L・直4(アルミ)とSKYACTIV-D Gen. 2=3.3L・直6(スチール)のピストンです。

IMG_7245.jpg

Gen. 1.5(アルミ)は段付きエッグ燃焼室となっています。

SKYACTIV-D Gen. 1.5
IMG_7257.jpg

Gen. 2(スチール)は2段エッグ燃焼室に進化。

SKYACTIV-D Gen. 2
IMG_7255.jpg

ピストンの断面です↓

矢印の先はクーリングチャンネル(冷却空洞)。

SKYACTIV-D Gen. 1.5
IMG_7250.jpg

Gen. 2のクーリングチャンネルはオイルをたくさん流すための容積が確保されています。

SKYACTIV-D Gen. 2
IMG_7248.jpg

Gen. 2のスチールピストンは耐熱樹脂でフタをしています。

マーレ(MAHLE)製であることもわかりますね(Gen. 1.5のアルミピストンもマーレ製だそう)。

写真ではわかりづらいですが、スカート部はピストン頂面外周部とつながっておらず、分離した構造になっています。

SKYACTIV-D Gen. 2
IMG_7259.jpg

どこかで見た形だなと思い当たるフシがありまして、写真を引っ張りだしてみました。

ルノーが2013年のIAA(フランクフルト・モーターショー)に展示していたディーゼル用スチールピストンが、マツダのSKYACTIV-D Gen. 2と同じスカート分離型です。

コンベンショナルなアルミピストン(ディーゼル用)と、高回転自然吸気エンジン時代のF1用アルミピストンを並べて展示していました。

DSCN7312.JPG

DSCN6476.JPG

ディーゼル用のスチールピストンはマーレ製です。

Renault Steel Piston for Diesel Engine(MAHLE) / 2013
DSCN7308.JPG

こちらはF1用アルミピストン。

スカートの形状が量産ディーゼル用スチールピストンと似ていますね。

Renault Aluminium Piston for F1 / 2013
DSCN6465.JPG

https://www.facebook.com/serakota/

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タカ

スチールにするとアルミに対し薄肉化はできそうですが重量的にはどうなのか、冷却性能はどう変わるのか、気になるところです。
F1用のピストン、吸気バルブが排気バルブに対してかなり大きいのがよくわかりますね。18000回転ではそれぐらいしないと十分に吸えないのでしょうかね。リフト量を抑えられる=バルブリセスを浅くできる効果もなくはなさそうですが。
by タカ (2022-08-08 22:55) 

世良耕太

いろいろな考えがあって、おもしろいですね。現役のホンダ(HRC)F1エンジンのピストンもスチールですし。
by 世良耕太 (2022-08-12 01:09) 

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