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新型日産リーフのキモはインバーター? [クルマ]

電気自動車の日産リーフがモデルチェンジして2代目に移行しました。初代は東銀座から横浜に移転した日産グローバル本社ビルのオープニングに合わせ、2009年8月に公開。2010年12月に発売しました。

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新型リーフのカタログです。

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初代リーフの発売当時のカタログを引っ張り出してみました。判型同じです。

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バッテリー容量は40kWhです。初代の初期は24kWhで、2015年のマイナーチェンジで30kWh仕様が追加されました。 30kWh仕様で280kmだった一充電走行距離(JC08モード)は400kmになっています。初代発売時は200kmだったので、倍。

JC08モードだとだいぶ数字が甘く出るので、実用上の航続距離はずっと短くなるでしょう。ただ、使い勝手が増しているのは間違いありません。

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モーターの出力は80kWから110kWに上がっています。力強さは増しているはずです。最高速は変わらず、約140km/h。

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モーターを変えたから出力が向上したというより、インバーター(矢印)を変えて大きな電流を供給できるようになったので(350Vの電圧は変わらず)、トルクが上がり(254Nm→320Nm)、出力が向上したのが真相。

電動パワートレーンの構成は変わりません。

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車載状態です。

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F1やWEC(LMP1-H)、フォーミュラEでは小型・軽量化、高効率化に寄与するSiCパワーモジュールが用いられたりしていますが、コスト(や信頼性)の面から「まだ使えない」そうで、リーフには採用されていません。

インバーターに大きな電流を流すと温度が上昇しますが、それをいかに効率良く冷やすかが開発のキーになったそう(損失を減らす開発の方向もありますが)。新型リーフでは、効率良く冷やすためにパワーモジュールの構造を見直しました。従来はベースプレートを介して冷却水と接していましたが、新型リーフではプレートを廃し、パワーモジュールに直接ピンを取り付けて冷却水に接する構造としました(矢印)。

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冷却のためのピンをよく見せるために、展示用の電動パワートレーンではインバーターの該当部分をカットしているのですね。

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s

インバータもだけど今度はちゃんと電池も冷やしてるのかなぁ?
※e-NV200とかe-Powerはちゃんとやってるみたいだけど...
by s (2017-09-06 23:07) 

源さん

電池は液冷式ではないっぽい(未確認)ですが、せめてノートPCのようなクーラーファンが装着されていたりはしないですかね?
by 源さん (2017-09-09 06:17) 

世良耕太

初代リーフと同様、冷却システムは搭載していません。「パウチタイプのセルを使っていることもあり、そもそも温度が上がりにくいのに加え、熱の挙動をうまくマネージメントできているから」というのが担当エンジニアの回答です。
by 世良耕太 (2017-09-09 19:17) 

源さん

世羅さま、

貴重な日産担当エンジニアの情報ありがとうございます。平均的に10万キロで90%の容量が残るような性能が確保されているのなら、私はそれで充分だと考えます。高価な冷却システムが無い分、求めやすいクルマになることを意味しますので。

容量が増えたことで充放電レートも下がりますので、先代リーフと比べてもきっと大幅に長寿命のバッテリーとなっていることでしょう。

ただテスラのモデルSは80万キロで80%という予測が欧州のユーザーフォーラム発のリサーチで述べられた例にあるように、可動部品が2000から20に減るという理由だけでなく、(よくできた)EVがICEを大きく上回る長寿命性を持つことが、おそらく今後は「世の常識」として認識される時代が来ると考えられます。
by 源さん (2017-09-12 00:00) 

源さん

続いての投稿をご容赦ください。

テスラはEVメーカーでほぼ唯一、小容量のセルを何千本と組み合わせたバッテリーパックを採用しています。あえてこの方式を取るメリットをテスラは見出しているはずですが、その理由は何だとお考えでしょうか?

容積が30%アップした2170タイプのモデル3でも4000本以上、96本直列の系統が40以上あると言われています(ラミネートセルのリーフは2系統、BOLTは3系統)。熱の上がった系統、容量が落ちた系統は休ませる等の、よりきめ細かな寿命管理が出来ることもメリットではと想像しています。マネジメント機構のコストで不利だとしても、ラグジュアリーブランドのテスラには大きな問題とはならない、とか。
by 源さん (2017-09-12 00:12) 

世良耕太

リーフは24kWh時代に5年10万kmだった保証が、2015年に追加になった30kWh版で8年16万kmになり、40kWh版でも8年16万kmの保証を受け継いでいます。28万台の販売実績が奏功して「電池の振る舞いがわかってきた効果が大きい」との説明でした。

はっきりしたことはわかりませんが、テスラの場合はコスト・信頼性面から規格品のセルを使っていると理解しています。ご指摘のように、引き替えに制御は大変そうですね。現時点では、総合的に判断しても既製品を使った方がメリットがあるということなのだと思います。
by 世良耕太 (2017-09-12 14:17) 

源さん

ありがとうございます。

リーフより明らかに優れる耐劣化性能をテスラがどのように確保しているのかははっきり分かりませんが、既存のメーカーから見たら過剰品質ともいえるそれは、ユーザーからすれば、長く乗る or 高く売って乗り換えるの選択肢が確保されるので、多少高くてもメリットがあると感じます。

新型リーフの耐劣化性能は、あと2年ぐらいは様子見ですかね~。
by 源さん (2017-09-12 23:42) 

源さん

サムスンSDIが21700セルのEV用モジュールを発表しました。BMW i3 94Ahセル(96個で33kWh)で知られていましたが、21700だと1個4Ah前後の3.6Vとして約4000個で60kWhあたりでしょうか。

写真のお姉さんが持っているモジュールで、24 x 4 = 96個 で約1.4kWh前後?
http://insideevs.com/wp-content/uploads/2017/09/1505178656454.jpg

既にテスラの蓄電池システムに使われていて、パナの後釜を狙っているのでしょうかね。LGケムも年内に21700に参入するそうで、テスラ以外の円筒形セル採用EVが増えるのかもしれません。
by 源さん (2017-09-13 04:15) 

大関悟

冷却機能がないEVなんて関西以南では使えない。 電池の劣化が早すぎる。旧型リーフのバッテリーは温度劣化が支配的。 旧型の劣化曲線に当てはめると、新型も8万km走れば航続距離は160km以下になると思われます。 
by 大関悟 (2017-12-11 12:54) 

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