NISSAN GT-R LM NISMOのハイダウンフォース仕様とWEC参戦見合わせ [モータースポーツ]
「ハイダウンフォース仕様の開発はすでに始めている」とル・マン24時間の週末に聞いていましたが、7月末に COTA(アメリカ・オースティン)で実施したテスト時の画像が公開されました。
フロントに2段重ねのカナードが追加されているのが目を引きます。ちなみに、ル・マン仕様はこちら。
NISSAN GT-R LM NISMO ル・マン仕様
こちらはハイダウンフォース仕様
NISSAN GT-R LM NISMO ハイダウンフォース仕様
カナードも目に付きますが、その内側にあるダクトが気になります。アウディR18 e-tronクワトロのシルバーストン戦仕様のような、空力的な効果を習った細工にも見えますが、ブレーキダクト? との疑問も湧きます。
ピットではブロワーをダクトの前に置いていますし(タイヤ&ホイールが外れているので、空気あてやすいだけ、かもしれませんが)。
ブレーキの冷却が弱点なのは確かで、ル・マン仕様では、インタークーラーの冷却水を冷やす熱交換機とラジエターを通過した空気をブレーキユニットに導いています。詳細はル・マン/WECのテクノロジー 2015 (モーターファン別冊)でご確認ください。
もっと問題なのはERS(エネルギー回生システム)で、8月7日、ERSがうまく使いこなせないがために第4戦ニュルブルクリンク(8月30日決勝)への参戦を見合わせ、テストプログラムに集中する旨の発表を行いました。復帰のタイミングは「テストプログラムの進捗状況によって発表する」としていますが、第5戦以降での復帰も怪しいと思っておいたほうがいいでしょう。
NISSAN GT-R LM NISMOが搭載しているERSは機械式フライホイールです。ル・マンでは機能をキャンセルして走りました。
機械式フライホイールについてまとめた過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2015-03-09
クラッチを介して大きなエネルギーをドライブラインに伝達するのですが、スムーズに(穏やかに)伝達させるのが難しいようですね。
革新的な技術に困難はつきものですが、読みの甘さについては猛省していただきたいところです。参戦を楽しみにしているファンが大勢いるのですから。
「NISSAN」ブランドは日本で生まれたブランドではありますが、ルノー傘下に入った1999年以降は管理の主導権をヨーロッパ側が握っています。LMP1プロジェクトも主導権を握っているのはヨーロッパ側で、それは、今回のWEC参戦見合わせのリリースがヨーロッパ発であることが、端的に示しています。
日本語のリリースも出ていますが、和訳したものすぎず、至ってビジネスライクな内容。日本の「日産」がLMP1プロジェクトに主体的に関わっている様子は、これまでの一連の動きからは感じられません。開発への関わりも情報発信の態勢も受け身に見えます。少なくとも、日本側がリードしているようには見えません。残念ですが、会社が買われてしまう(買っていただいた、と表現すべきか)というのはこういうことなのでしょう。
http://www.facebook.com/serakota
フロントに2段重ねのカナードが追加されているのが目を引きます。ちなみに、ル・マン仕様はこちら。
NISSAN GT-R LM NISMO ル・マン仕様
こちらはハイダウンフォース仕様
NISSAN GT-R LM NISMO ハイダウンフォース仕様
カナードも目に付きますが、その内側にあるダクトが気になります。アウディR18 e-tronクワトロのシルバーストン戦仕様のような、空力的な効果を習った細工にも見えますが、ブレーキダクト? との疑問も湧きます。
ピットではブロワーをダクトの前に置いていますし(タイヤ&ホイールが外れているので、空気あてやすいだけ、かもしれませんが)。
ブレーキの冷却が弱点なのは確かで、ル・マン仕様では、インタークーラーの冷却水を冷やす熱交換機とラジエターを通過した空気をブレーキユニットに導いています。詳細はル・マン/WECのテクノロジー 2015 (モーターファン別冊)でご確認ください。
もっと問題なのはERS(エネルギー回生システム)で、8月7日、ERSがうまく使いこなせないがために第4戦ニュルブルクリンク(8月30日決勝)への参戦を見合わせ、テストプログラムに集中する旨の発表を行いました。復帰のタイミングは「テストプログラムの進捗状況によって発表する」としていますが、第5戦以降での復帰も怪しいと思っておいたほうがいいでしょう。
NISSAN GT-R LM NISMOが搭載しているERSは機械式フライホイールです。ル・マンでは機能をキャンセルして走りました。
機械式フライホイールについてまとめた過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2015-03-09
クラッチを介して大きなエネルギーをドライブラインに伝達するのですが、スムーズに(穏やかに)伝達させるのが難しいようですね。
革新的な技術に困難はつきものですが、読みの甘さについては猛省していただきたいところです。参戦を楽しみにしているファンが大勢いるのですから。
「NISSAN」ブランドは日本で生まれたブランドではありますが、ルノー傘下に入った1999年以降は管理の主導権をヨーロッパ側が握っています。LMP1プロジェクトも主導権を握っているのはヨーロッパ側で、それは、今回のWEC参戦見合わせのリリースがヨーロッパ発であることが、端的に示しています。
日本語のリリースも出ていますが、和訳したものすぎず、至ってビジネスライクな内容。日本の「日産」がLMP1プロジェクトに主体的に関わっている様子は、これまでの一連の動きからは感じられません。開発への関わりも情報発信の態勢も受け身に見えます。少なくとも、日本側がリードしているようには見えません。残念ですが、会社が買われてしまう(買っていただいた、と表現すべきか)というのはこういうことなのでしょう。
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モータースポーツの管理元がというよりも、今回のプロジェクトのスポンサーが米国法人ということだと理解しています。日本のNISMOも加わった3極の会議で打ち切りが決められたのではないかと。問題点は車の素姓の悪さでしょうね。それとGTアカデミー出身者の組み合わせの悪さだと思います。
品川のNISMOはスーパーGT注力でWECまで手は回りませんよ。
by おおの (2015-08-08 08:33)
ルノーが日産を「買った」当初は議決権はルノーにあったけど
43%の株式を保有するものの今は売上高が倍スコアで日産に差を付けられてしまって日産がルノーを支えている状況なので
ルノー云々のせいでこの件が欧州主導という訳ではないと思います。
あと上のおおのさん、
今nismoは品川にありません。
新社屋に移転して横浜です。刀をイメージしたデザインで
綺麗で大きくて流石ワークスといった趣です。
by 元nismo (2015-08-08 08:56)
「NISMO」の名前を冠した活動であるにもかかわらず、日本のニスモが、「やりたいようにやらせてもらえていない」ように見えるのは、気の毒に感じます。
by 世良耕太 (2015-08-08 12:57)
もう「技術の日産」は過去のものなんですね。残念です。
by ヴェルディの星 (2015-08-08 19:57)
そう言えば横浜に引っ越したんでしたよね。(青物横丁のイメージが強くて)
米国の主導プロジェクトとしては、IMSA仕様でルマンに挑戦した1980年代のプロジェクトですが、今回もあのような感じではないでしょうか?あれは後にNMEも絡んだんでしたっけ?
前回はTWRと組んでのプロジェクトだったと記憶していますが、今回のパートナーのダレン・コックスはコンセプトは面白いんだけど、詰めが甘いですね。WEC参戦は車の危険性も高いので、レースにリソースを割くよりも来年のマシンに力を注ぐ方がいいと思います。そう言った意味で、日本がもっと絡んだ方がいい気がしますね。
ちなみに、バーチャル組織としてのNISMOとしてのプロジェクトですがあくまでもプロジェクトリーダは米国という認識です。
あと、日本のマスコミはWECシリーズを最多出場カテゴリーのLMP2のエンジンを日産が支えているという事実を伝えなさすぎでしょう。
by おおの (2015-08-10 09:23)