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トヨタTS030ハイブリッドとアウディR18 e-tronクワトロの燃費について [モータースポーツ]

トヨタTS030ハイブリッドの燃料タンク容量は73Lなのに対し、アウディR18 e-tronクワトロは58Lで、化石燃料の量としてはトヨタの方が25.9%も多く積んでいます。なのに、1スティントあたりの周回数はアウディの方が多く、トヨタは少ない(つまり、燃費はアウディの方がいい)。どうしてそうなるのか、気になりますね。

アウディR18 e-tronクワトロはディーゼルエンジン(3.7L・V6シングルターボ)を積んでいるので使用燃料は軽油です。一方、トヨタTS030ハイブリッドはガソリンエンジン(3.4L・V8NA)を積んでいるので、使用燃料はガソリンです。

audi_r18_engine.jpg
(写真:Audi)

単位質量あたりのエネルギー量を示す低位発熱量はガソリンの32.9MJ/Lに対し、軽油は36.3MJ/Lですから(軽油の方が高エネルギー。ま、単純に比重の違いと捉えていいでしょうか)、1タンクあたりのエネルギー量を比較すると次のようになります。

ガソリン(トヨタTS030ハイブリッド):73×32.9=2401.7MJ
軽油(アウディR18 e-tronクワトロ):58×36.3=2105.4MJ

相変わらず、ガソリンが軽油(ディーゼル)を上回りますが、タンク容量ほどの差ではなく、その差は14.1%です。積んでいる燃料のエネルギー量はガソリンエンジン搭載車の方がディーゼルエンジン搭載車に比べて多いのですが、内燃機関の熱効率(燃焼室で生み出された熱エネルギーが、実際に車両を前に押し出す仕事に使われる率)はディーゼルの方が圧倒的に高く、両者の熱効率を掛けると、ガソリンエンジン搭載車とディーゼルエンジン搭載車の優位性は逆転します。

仮にディーゼルの方がガソリンよりも25%効率が高く、ガソリンの熱効率は36%、ディーゼルは45%とすると、1タンクあたりに仕事に変換されるエネルギー量は次のようになります。

ガソリン(トヨタTS030ハイブリッド):2401.7×36%=864.6MJ
軽油(アウディR18 e-tronクワトロ):2105.4×45%=947.43MJ

優位性は逆転し、軽油(ディーゼル)が9.6%有利。ゆえに、10%程度長く周回できる計算になります。まあ、係数を変えればいくらでも操作できてしまうのですが、ディーゼルに有利な規定であることは間違いないでしょう。

2012_05_interlagos_practice3_hd_06.jpg
(写真:Toyota Motorsport)

という条件にもかかわらず、トヨタTS030ハイブリッドがR18 e-tronクワトロと互角、いや、凌駕する走りを披露しているということは、ハイブリッドシステムで熱効率の差を縮めつつスピードに転化したり、空力で走行抵抗を小さくしたりコーナリングスピードを増したり、といった開発の効果が現れているのだと推察できます。

そう思いながら眺めると、たくましいですね。

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ちるちる

回生ブレーキも搭載してるとしたら耐久で厳しいブレーキにも優しいし、その他の電力も賄うことができますよね?間違ってません?
by ちるちる (2012-09-17 10:05) 

世良耕太

協調回生ブレーキ、強力に機能させています。なので、油圧ブレーキにやさしいのですが、それはそれで問題だそう。油圧ブレーキの負担が軽い→ディスク&パッドの温度が上がらない→カーボン/カーボン材の中に入っているガラス質が析出して摩耗が進行してしまう。
だから、なんとか温度を上げようと苦労していたのがル・マン24時間でしたが、適正温度を保つのが難しく、予防的に交換したりしていました。シルバーストン以降は材質を変えることで解決しています。蛇足ながら。
by 世良耕太 (2012-09-17 22:23) 

サルヴァトーレ

その優勝したときの動画も出ました!
是非観てみてください!
http://www.youtube.com/watch?v=LELWQ4VaCRg
by サルヴァトーレ (2012-10-02 08:50) 

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