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【レースな世界紀行2004】その10の1 [レースな世界紀行 2004]

振り返ってみたらば、ドタバタ中の写真は1点もありませんでした。そんな余裕はなかったのでしょうね。何も写真がないと寂しいので、それっぽいのを載せておきます(一応、アメリカの空港)。

その10の1
F1第8戦カナダGP〜第9戦US GP
カナダ・モントリオール〜アメリカ・シカゴ〜ロサンゼルス〜インディアナポリス

一度でもアメリカを訪れたことのある人なら、入国審査の長い列に辟易した経験をお持ちだろう。10時間以上の長いフライトの末にようやくアメリカの大地を踏んだと思ったら、目の前に長い列が待ちかまえている。時差が13時間から17時間はあるから、アメリカは日本を出発した日と同じ日付で、しかもまだ昼である。

頭など働いていようはずはない。なのに、いかめしいユニフォームに身を包んだアメリカ人から「どこに泊まるんだ」「何しに来たんだ」「いつ帰るんだ」と矢継ぎ早に質問されてはたまらない。

まあ、それはいい。半ば覚悟のうえだ。覚悟ができていないのは、乗り継ぎ便が遅れに遅れたと思ったら、ついにはキャンセルになり、空港の出発ロビーでひと晩を明かさねばならなくなることである。それは今回僕が経験したようなことで、まったくイヤになる。

ユナイテッド航空882便で成田を16時35分に飛び立った僕は、同日14時にシカゴに着いた。シカゴからはユナイテッドの5784便でモントリオールに向かう手はずになっていた。17時55分のフライトだから4時間ほども余裕がある。しからばラウンジでひと休み、となるのは当然のなりゆきだ。

異常事態が発生したのはそれからである。各フライトの出発時間を示すモニターを確認したところ、ほとんどのフライトには「ON TIME」の表示があるのに、UA5784の項には「DELAY」の文字と変更後のフライト時間が表示されていた。
「まいったな、1時間遅れか」と余裕綽々だったのは最初のうちで、2時間遅れ、3時間遅れとなるうちに焦りだした。

airport.jpg

ようやく機上の人となったのは日付も変わらんとする頃だったと記憶するが、疲労と時差ボケで席に着くなり眠りに落ちようよしていた僕の目を覚ましたのは、機内のアナウンスとそれにともなう乗客のざわめきであった。

半睡半醒の頭で状況を整理したところ、UA5784便は結局のところキャンセルになったらしい。で、機長は乗客にどういう指示を出したのかと言えば、別のターミナルから出発しようとしているモントリオール行きに乗ってくれと言ったのである。

早歩きで移動したが、ゲートにはすでに長蛇の列ができていた。そのうち、先頭の何人かがモントリオール行きの飛行機に吸い込まれ、後ろの何人か(といっても20人はいたように思う)はモントリオールに行くアテを失った。「一体どーなってんだよー、責任者出てこーい!」と、怒鳴ったり喚いたりするような輩はアメリカ人やカナダ人にはいないようだった。

慣れているのだろうか。ぞろぞろとゲートを立ち去り、重い足取りでもってサービスデスクへと向かうのだった。サービスデスクでホテルのバウチャーと20ドル分のミールバウチャー、それからこれが肝心なのだが、翌朝一番のモントリオール便に乗れることを保証するフライト・マネージメントなんたらという紙切れをもらった。

外に出てタクシーを拾ったが、バウチャーに書いてある「プラザホテル」がどこにあるのかわからない、と運転手が言う。「どこのプラザホテルだ?」と聞かれたところで、当方にわかるはずもない。運転手は手元の地図を手繰って調べてくれたが、結局は見つからずじまいだった。

諦めてタクシーを降りたが、ホテル行きを諦めきれずにもう1台拾って「プラザホテルへ」と告げてみたが、結果は同じだった。そうこうしているうちに午前1時を過ぎた。朝一番の飛行機は7時に飛び立つ(予定である)。ホテルへ行って、チェックインをして、寝て、起きて、チェックアウトをして、空港に来て、といろいろと考えてみたら、そう時間はない。というわけで、チェックインカウンター前にある3人掛けのベンチに腰掛けてウトウトすることにした。

5時にセキュリティが開いたのでターミナルに移動。マックの朝メニューを食べた。食べて気がついたのだが、前日の昼からまともな食事をしていないことに気づいた。
6時半にゲートに向かってくだんのフライト・マネージメントなんたらを差し出し、
「はい、これ。ボーディングパスをください」
と告げた。カウンターの内側にいる職員は、キーボードをパチパチと叩き、
「あ、あなたスタンバイですね。空席が確認できたら呼びますから、そこで待っていてください」
と、こうである。こうして、またあふれて、乗り遅れて、結局シカゴにもうひと晩、とイヤな予感にとらわれた。

「どうしても乗りたい」という必死の思いが通じたのか、ボーディングが始まってしばらくすると、職員がボーディングパスを渡してくれた。喜び勇んでゲートを通過。階段を下りていざ飛行機に乗り込まん、としたところがあるはずの飛行機が目の前にない。ザーザーと雨が降っているばかりである。

呆然と外を眺めつつ2秒ばかり立ちすくんでいると、空港職員が近づいてきて、僕の顔を覗き込む。
「あんた、モントリオール行くの?」
「はい」
(つづく)

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